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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの足跡(後)
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ターは魔神を立て続けに同時召喚して――五十柱の魔神によって討ち滅ぼしたのだと告げた。
 それでも、理性がなくとも一矢報いたのは、ヘラクレスの意地だったのかもしれない。

『あのキャスターの真名は、ソロモン。全ての魔術の祖にして支配者。令呪がある限り、お兄ちゃん達に勝ち目はないわ。だって、ヘラクレス以外に複数の命を持ってる奴なんて、早々いないものね』

 キャスターの真名に絶句する凛と慎二を横に、その偉大さを実感として知らない士郎はあっさりと返した。なら令呪、全部使えばいいだろ、と。
 セイバーのみならず、アーチャーやライダーも驚愕した。何をバカな、と。しかし止める間もなく士郎は令呪を連続して使う。正常な契約を結べてないんだろ? ならこうすればいい、と。
 令呪で無理矢理セイバーと自身のパスを繋いだのだ。極めて無理のある荒業に、士郎は痛みで気絶した。

「馬鹿が……」
「でも、先輩らしいです」

 エミヤの悪態に、マシュは微笑む。

 目覚めた士郎は、セイバーにこんこんと説教された。あんな無茶な真似をするな、そもそも貴方は危険に対して無頓着過ぎる、バーサーカーの時も、アサシンの時も、そしてあの城の時も、と。サーヴァントを律する令呪を使いきるなど有り得ない、不慮の事態があればどうするのですか、私が裏切るとは思わないのですか、などと。くどくどと責められ続け、士郎は辟易として言った。

『セイバーが俺を裏切るなんて有り得ないだろ』
『何故言い切れるのですか。まだ付き合いの浅い私を信頼するなど――』
『信頼してる。時間なんて関係あるか。だってセイバー、俺の剣になるって言ってくれただろ? 自分を斬る剣なんか持った覚えはないし、それに女の子の言葉は信じる主義だ。嘘泣きだと分かっていても、敢えて騙されてやるのが男だって、ジイサンも言ってたしな』

 ぽかんとしたセイバーに、士郎は快活に笑う。ははは可愛い奴、なんて。セイバーは顔を真っ赤にして怒った。女扱いは不服だと。

『なんでだ? セイバー、女の子だろ』
『私は女である事を捨てた。女である前に騎士であり王です。そんな扱いは不要だ』
『嫌だね。お前のマスターが俺である限り、そんな言い訳は聞かない。女の子を女の子扱いするなとか無理だ』
『シロウッ!』
『この件で逆らうと飯抜きな』
『!? ……クッ、卑劣な……! しかし、そんな脅しには屈しません。撤回しなさい、私は騎士です、貴方の言葉は受け入れられない!』
『あっそ。じゃあ今夜、セイバーの分は作らないから』

 とか言いながら食事の場にもセイバーを伴う士郎である。和やかな食事風景に、セイバーは心底辛そうに俯いているが、その匂いと網膜に焼き付いた料理が理性を焼く。
 翌日。特に新たな発見も、動きもない日だ。朝食から夕食
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