士郎くんの足跡(中)
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る大河や桜を宥めて学校へ送り出した。
しかし夕方になると、凛や慎二に電話をして、彼らに気を遣われながらも街に繰り出す。そうして作戦通りにアサシンを釣る事に成功した。片腕が奇形のアサシンは、攻撃の間際に凛の魔術に感知され、令呪で呼び出されたセイバーによって倒されたのだ。
上手くは行った。だが仮にアーチャーが復帰したとしても、あのバーサーカーに太刀打ち出来るとも思えない。宝具で距離を詰められる前に倒すか、イリヤを叩かねばならないが――士郎はイリヤを倒す事を、断固として拒絶した。
イリヤを救ってやってほしい――切嗣の言葉は遺言となっていた。呪いではない、しかし士郎はそれを破るつもりは毛頭なかった。例え殺され掛けたのだとしても。
残るは、キャスターとランサー、バーサーカーだが。ランサーの所在は杳として知る事が出来なかった。あてもなく、変装したセイバーと霊体化したライダーを連れ、慎二や凛と街を彷徨い歩くばかりだった。
その次の日の夜だった。不意に強大な魔力の発動を感じた。凛はおろか、士郎や慎二すら感じ取れるほどの爆発的なそれは、黄金の光と爆音を発している。時間にして一分だったろう、士郎達が現場に急行する。
そこで出会ったのだ。あまねく魔術を支配する王と。
消え去ったサーヴァントは、魔術王に敗れたのか。――黄金の鎧の欠片が散らばっていたのが、消滅する。
『――二騎のサーヴァント。新手だ、どうする? マリスビリー』
『君の消耗を考えれば、此度は撤退した方がいいね。ここは退こう』
男が言う。転移魔術を詠唱もなしに使用した魔術師達は幻のように消えていた。
『今のは――アーチャー……!?』
セイバーの驚愕だけが、その場に溢れ落ちた。
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