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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの足跡(前)
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に紹介した。どんくさい奴だし、オマエ暇だろうし、僕が部活でいない時ぐらい面倒見といてくれよ。貸しを返すと思って。

『間桐桜です……』

 目の死んだ、暗い少女だった。士郎は慎二の頼みだからと安請け合いし、そうして二人の付き合いははじまった。
 幼い桜は、まじまじとそれを見る。不思議そうに、中学生の自分を。
 慎二と士郎、そしてその間に桜がいた。次第に笑顔を見せるようになっていく桜の変化が、幼い桜にはよく分からない。

 やがて桜は、士郎の屋敷に通い詰めるようになる。慎二も週に二回か三回は必ず顔を出して、夕食代を士郎に押し付け、大河を合わせて四人でご飯を食べた。
 和やかに過ぎる青春時代。事態が急転し、士郎が変質するのは、高校二年生の冬の時期だった。

 高校に進学してきた桜を弓道部に迎え、一年の頃から弓道部を続けていた士郎と慎二は桜を歓迎した。
 しかし桜は先輩の女子から陰湿な苛めに遭い、士郎は男女平等拳を握り込む――のを慎二が押さえ、苛めの加害者の上を行く陰湿な手で加害者を部から追い出した。がらの悪い少年を四人連れてきた女の先輩が直接的な仕返しに来た時は士郎が出張ると、壮絶な殴り合いの我慢比べで、四人の少年を相手に粘り切り、相手を根負けさせた。
 馬鹿じゃねぇの? 馬鹿なんですか? 間桐兄妹に呆れられるも、士郎は笑っていた。いいんだよと。正義の味方として悪には負けんと、高校二年生にもなって、恥ずかしげもなく言い放った。

 馬鹿だなと慎二が嘲笑する。しかしその裏にある親しみを知る。
 馬鹿です……桜が心配する。芽生えた好意が、士郎を見詰めた。

 しかし、ある時を境にして、慎二は桜に辛く当たるようになる。士郎はその訳を聞き出そうとするも、慎二は士郎を避けた。
 それから暫くして、ある時。バイト先で腕を火傷した士郎は、慎二に弓道部を退部するように迫られる。醜い火傷の痕を周りに見せるなと、慎二なりに心配しての悪態だと理解したのは、桜と士郎だけだった。

 士郎は弓道部を去った。まあ、いいかと。未練はあっても、後腐れはなかった。

 魔術の鍛練。筋力トレーニング。ジョギング。座学。やる事、やれる事は山ほどある。
 将来は警官になるのがいいと、士郎はぼんやりと将来のビジョンを定めていた。

 やがて冬の風が辛くなると、士郎は奇妙な少女を見掛ける。

「私……?」

 イリヤが呟く。

 それは紫のコートを纏った、雪の妖精のような少女だった。無垢なイリヤとは異なる、不思議な雰囲気の少女は、士郎の脇を通り抜ける。ふと背後を振り向くと、その少女の姿は消えていた。
 首を捻る。気のせいか? と。再会まで、長い時は掛からない事を、イリヤと美遊は予感する。

 ある日の朝、遠坂凛と出くわした。朝、早いんだ
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