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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの足跡(前)
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ろって、ジイサンの夢は俺が叶えてやるから。姉ちゃんだって、俺が助ける。な? 安心できるだろ』

 その、少年の言葉に。切嗣は目を限界まで見開き、そして微笑んだ。

『ああ――安心した』

 その静かな夜、切嗣は眠るように息を引き取った。

『切嗣? ……寝たのか? ったくしょうがねぇなぁ』

 月を見上げる少年は、養父の死に気づかず、一人囁いた。

『いい夢見ろよ。……父さん』

「……先輩」

 切嗣の死に気づかないまま、照れ臭そうに切嗣を父と、はじめて呼んだ少年に、マシュが目頭を押さえる。
 そして、葬式が終わった。士郎は人目も憚らず号泣していた。大河もそれに釣られ、幼子のように泣きじゃくった。

 月日が流れる。

 中学生になった士郎は、正義感に突き動かされるまま、弱者の味方となって喧嘩に明け暮れていた。不良のレッテルを貼られ、周囲に煙たがられても、在り方を変えなかった。

『何やってんだか。オマエ、馬鹿だろ』

 それが見ていられなかったのだろう。間桐慎二と名乗った少年が、孤立していた士郎の味方をした。

 間桐、その名に桜が反応する。

 気紛れだったのかもしれない。或いは彼なりの正義感だったのかもしれない。慎二がそれとなく周囲に働きかけた結果として、士郎は不良扱いされなくなった。
 あくまで弱い者苛めをするグループに向かって行く士郎のフォローをして、慎二は周囲との軋轢が生まれないように立ち回ってくれたのだ。二人で夕日の中帰路についていた士郎は、ふと笑う。
 喧嘩で殴られた頬が、痛々しく腫れている。しかし全くそう感じさせない、晴れやかな笑顔だった。

『すまん、慎二。いつも助かってるよ』
『謝んな馬鹿。オマエ頭は悪くないんだからもう少し要領よくやればいいだろ』
『それが出来たらいいんだけど、無理だな。無理だから弱ってたんだ。――はあ。やっぱ人間一人じゃ出来る事なんか限られてるんだなぁ』
『はあ?』
『いや、こっちの話さ。んじゃ、今後とも尻拭いよろしく』
『ふざけんな。もうこれ以上衛宮みたいな馬鹿の面倒見てらんないよ。それよりオマエ、体力有り余ってんなら部活でもしたら?』
『部活? ……あー、高校入ったらな。今更俺が入ったって、どこも困るだけだろ』
『ま、それもそうか。不良扱いはなくなっても、敬遠されてるもんな、オマエ』

 士郎が高校進学後、弓道部に入ったのはこの時のやり取りがあったからだろう。
 二人の少年はよくつるんでいた。親友、と言えるのかもしれない。慎二は断固として否定するだろうし、士郎は首を捻って悩むだろうが、それでも最も親しい友人同士だった。
 気が合ったから、なのか。それとも一人にしていたら、士郎が面倒を起こすに決まっているからか。慎二は妹を士郎
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