第2章 項羽と劉邦、あと田忠 〜虞兮虞兮、奈若何〜
第8話 戦いは数だよ兄貴! ※なお負ける模様
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てたら、入城した漢軍は勝利に浮かれ、財宝を荒らすわ。
日夜城内で宴会を開き、女を追いかけ回すわ。俺の目の届く範囲では乱暴狼藉を果たすものはいない。
だが、50万人以上を目配りできないし、トップの不思議ちゃんが容認している状態だ。
油断しすぎじゃね?と韓信と愚痴った。
@月%日
来た! 見た! 負けた!
彭城の戦いでコテンパンに負けた。相手は、たった3万人の項羽軍。
俺と韓信が殿を務めなかったら全滅してたんじゃね?
56万人中、ざっと10万人は死んでる。被害多すぎだろ。
□月+日
?陽にて篭城中なう。
◆
彭城での大敗北で、諸侯はこぞって項羽へと寝返り始めた。現在、劉邦軍は?陽に篭城し、項羽軍の猛攻に耐えている。しかし、その士気は高かった。
「おお〜、皆精が出ますね〜」
「りゅ、劉邦様! 前線に出られてはだめです!」
「相変わらず張良ちゃんはお堅いですねえ。みんな〜、ふぁいとだよ!」
「いっぱ〜つ!」
唖然とする張良の眼の前で、謎の挨拶が交わされる。”にっこにっこに〜“と機嫌良さそうに謎の言葉を発する劉邦を問い詰めた結果……。
「全部あんたのせいね!!」
「張良殿!? な、なんのことかわかりませんな」
”張良きっく“ をあえて食らった田忠はシラを切った。その態度に更に怒りのボルテージが上がった張良は、深呼吸するとまくし立てた。
理路整然と問い詰めていく張良に対し、さすがの田忠も旗色が悪い。
「ふぁいと、という言葉は、仙人の世界の言葉で “頑張れ” を意味しています」
「へ〜」
「いっぱ〜つ、とはファイトという掛け声に答える仙人の用語です」
「ふ〜ん」
「にっこにっこに〜、ですか? あ、あれは、劉邦様の可愛らしさを表現できる仏教的な言葉です!」
「それは同意ね! ってちが〜う!! あんた仙人とか仏教とかつければなんでも許されるとでも思ってんの!?」
苦し紛れの田忠は平身低頭するのだった。その光景をみた周りの将兵は苦笑を浮かべている。篭城中にもかかわらず、皆の表情が明るい理由は二つある。
一つ目は、蕭何が後背地から援軍と物資を続々と寄こしているからだ。項羽軍も輸送隊を襲撃しようとしているものの、うまくいっていない。
二つ目は、項羽軍に優秀な軍師がいないことだ。劉邦軍には張良を筆頭に、田忠や陳平が揃っている。項羽は戦場でこそ負けなしだが、軍師による戦略レベルでの戦いでは圧倒的に不利だった。現に、輸送隊を捕捉できずにいる。
もし、范増さえいれば、状況は変わったかもしれない。
「クッソー! なぜあの程度の要塞が落ちねえんだ!!」
「鐘
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ