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カルディア侯爵の挑戦状
フィアンセ

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カルディア侯爵が薬を取って来る間に服を脱いで背中を向ける。もちろん前は布団で隠しているし安心だ。
カルディア侯爵は地面に薬を置いた後、まるで言葉を失ったかのように一気に喋らなくなった。
〔…塗って…?〕
背中には熊にやられた大きな傷や擦り傷、コアの傷も持ち合わせているため体にもヒビが入っているのを見て唖然としているのだろう。案の定後ろを振り向くとカルディア侯爵は唖然とし伸ばしていた腕も震えている。私はそっとカルディア侯爵の腕を掴み自分のヒビを触らせる。カルディア侯爵はまるで自分の傷のように悲しそうな瞳をしている。そんな目を向けて欲しくなかったから言わなかった。これはやはり隠しておくべきだったことだと言えるだろう。
〔大丈夫ですから。〕
無理矢理にでも笑って見せる。カルディア侯爵は薬を手に優しく塗ってくれた。自分の傷やヒビが悪化しないように。
〔ビビりましたよね。〕
カルディア侯爵は怒っているのか知らないがずっと知らんぷりをしている。だんだん震えていたても落ち着いてきて今ではスラスラと優しく塗ってくれる。
〔私はこの体を守りたい。〕
自分は背中越しにカルディア侯爵に伝えた。
〔私がこのヒビをコアから取らなければ死んでしまう。〕
(終わりましたよ。)
そっと背中を叩いてくれているカルディア侯爵。自分は思わず涙が出る。
〔まだ…もう少し生きていたい…〕
つい本音を出してしまった。それに気付き急いで振り向いて訂正する。
〔今のは聞かなかったことに…〕
振り向いて言う瞬間にカルディア侯爵と唇が触れる。軽く触れ合っただけだが温かみを感じた。カルディア侯爵はしばらくして私の肩を持ちまっすぐこっちを見て言う。
(私はあなたを壊したくない。)
その一言に私は救われた気がした。一人でも私の無茶を止めてくれる人がいる。それは、私を必要としてくれていると言うことで時にそれは存在価値を表す。私の頬に一筋の涙が滴る。
〔ありがとうございます。〕
その日は一日中侯爵と部屋に居た。侯爵は朝に帰った。
〔この人になら任せられるかもしれない。〕
私の横で重たい責務を一緒に背負ってくれるかもしれない。
〔ルーティア、ルーシェ〕
[{何?}]
〔カルディア侯爵に任してもいい?〕
{何を?}
〔フィアンセの相手…かな?つまりは。〕
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