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英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
第81話
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がらも順調で…………親戚一同、とても仲が良かったんです。

―――当時まだ珍しかった導力車同士の衝突事故でした。相手の運搬車は、盗まれたもので現場から運転手は逃走しており…………結局、事件はそのまま未解決の扱いとなってしまいました。私の父と、母と、弟を奪ったまま―――

奇跡的に助かった私は…………叔父の一家に引き取られました。副社長だった叔父は、会社経営も引き継いでくれて…………そんな叔父たちに感謝しながらも私はずっと同じことを考えていました。…………どうして私だけが生き残ってしまったんだろう、と。

きっかけはそのすぐ後でした。―――父の遺品を整理しているうちにここ数年の帳簿を発見し…………それをぼんやりと眺めているうちに…………奇妙なことに気づいたんです。元々リーヴェルト社は、質の良い楽器を手頃な価格で提供していたメーカーでした。それが、あり得ない原価で巨額の売り上げを出していた箇所が随所に見られて…………その意味を解釈しながら他の帳簿もチェックするうちに”視えて”しまったんです。…………副社長だった叔父が父の知らぬ所でやっていたこと―――

外国で作らせた大量生産品をそれまでと同じ国内製と偽って莫大な利益を上げる一方…………名匠(マイストロ)の作品の贋作を作らせて、本物として富裕層に売りつけるといった詐欺以外の何物でもないやり方を。――そして父がそれに気づき、叔父を正すため動こうとした矢先に”事故”が起こっていたことを…………

…………問い詰めると叔父は驚きつつもあっさり認めました。『証拠などない、あったとしても有力貴族を味方につけている。騒いでも無駄だし、逆に一人だけ生き残ったことを疑われるぞ?』

悔しかったし、何よりも哀しかった…………そうして、途方にくれていた所にあの方が現れたんです。

…………君の父上とは士官学校時代の友人だった。気になっていたのだが公務に追われ、来るのが遅れたのが悔やまれるな…………

――何故だがあの方は事件の真相を全て知っていました。そして、私がそれに気づいたことに驚きつつもこう仰ったんです。

君のその『統合的感覚』というべきか…………全体と部分を瞬時に把握する能力は元々あった先天的なものが事故で顕れた、と考えるべきだろう。―――この件、私自身の手で裁こうと思ったが気が変わった。君のその能力を活かす形で両親と弟の仇を討つつもりはないか?

――私は畏れ、迷いました。でも、父と母の…………何よりも宝物のように大切だった弟の笑顔がどうしても離れなくて…………私は閣下のアドバイスに従いつつ、叔父の罪を立証するあらゆる証拠を集めていったんです。

背景、動機、隠蔽工作、実行犯、メンフィル帝国に帰属した貴族達も握りつぶせないありとあらゆる揺るぎない証拠を。最
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