第81話
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ア政府の規定路線だった。准将たちにしても領邦軍存続を条件に引き受けたと聞いてるし。――――既に詰んでいたのよ、状況は。」
”北方戦役”の事を思い出して責任を感じているリィンにサラは寂し気な笑みを浮かべて指摘した。
「…………それは…………」
「でも君は、そんな中、何千、何万もの市民を救った。人形兵器の掃討だけでなくエレボニアと祖国との外交問題が発生する恐れがあっても、躊躇う事無く八つ当たりで市民達に襲い掛かろうとしたエレボニア軍の兵士達を斬ってでも市民達を守った。…………それは”彼ら”にもちゃんとわかってるんだと思う。」
「……………………」
サラのフォローにリィンは何も語ることなく目を伏せて黙り込んでいた。
「…………まあ、元々無理があったのかもしれないわね。猟兵稼業なんかで滅び行く国を何とかする…………あの人もそれはわかっていたのかもしれない…………」
「あの人…………?」
「っと、今のは―――………フフ、あたしの初恋の人よ。」
「ええっ!?」
サラが口にした驚愕の事実にリィンは驚きの声を上げた。
「あはは…………といっても父親なんだけどね。」
リィンの様子を見て苦笑したサラは自身の過去を離し始めた。
「28年前の”塩の杭”の異変…………国土の大半が塩で覆われた異変で親を失った赤ん坊を引き取った人…………元公国軍大佐で、”北の猟兵”を立ち上げた一人―――物心ついた時には故郷は荒れ果て、外貨を稼ぐ猟兵達はまさに”英雄”だったわ。育ててくれた養父は”北の猟兵”のリーダー格の一人…………あたしは父に憧れて10歳の時に『少年猟兵隊』に入った。
厳しい訓練を積んで本隊への参加を認められたのが13歳の時…………あたしは初めて実戦を経験した。…………そこは地獄だった。誰かの欲望のため、誰かの命を奪う戦場であたしは血と硝煙に塗れながら戦い続け…………いつしか”紫電”なんて渾名の少女猟兵として知られるようになった。―――その”無理”が限界に達する時まで。
18の時、あたしは中隊長として部隊を任されるようになっていた。そしてエレボニア辺境であった任務―――大貴族と大企業の代理戦争に参戦したの。相手はあのニーズヘッグ…………でも、あたしの部隊は彼らを撃破し続け、勝利も目前と思われたその時―――周辺民を巻き込むのを避けようとしてあたしの部隊は手痛い反撃を食らった。
絶対絶命かと思われたその時…………あたしを救ってくれたのは父だった。総指揮官を務めていたのにあたしの部隊の危機に駆けつけて致命傷を負ってしまって…………」
…………わかっただろう、これが猟兵だ。この道を進むかどうか、今一度、よく考えてみなさい…………
「…………元公国軍人だったからかな?丁寧な口調
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