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天体の破壊者
Garbage to the garbage box.
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 大国・ミスルギ皇国

 今やミスルギ皇国では盛大なパレードが催され、多くの民衆が賑わっていた。
 その中心に居座るはアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ

 アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ 
 容姿端麗・才色兼備・文武両道を誇るミスルギ皇国第1皇女である。
 高貴で礼儀正しき女性であり、その美貌は非常に人気が高い。
 今の彼女は国民から愛され、人気の絶頂期を迎えていた。

 それはアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギの生の側面
 彼女に限らずこの世界に生きとし生ける全ての人類は狂気を覗かせる歪んだ側面を有していた。

 無論、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギも例外ではない。
 彼女は、幼少より歪んだ常識を植え込まれ、ノーマ根絶を思想とする哀れな道化である。
 彼女のノーマへの差別意識は非常に高く、家畜と同類だと断じる歪んだ一面も併せ持つ。
 そんな彼女は洗礼の儀でノーマ根絶を理想とした世界の建築を宣言しようと決めていた。


 ノーマは憎むべき猛獣であり、反社会主義者
 忌むべき存在は排除しなければならない。

 それがこの世界に敷かれた絶対の掟
 人々の深層心理に根付く歪んだ思想

 しかし、彼女自身も禁忌の人種であった。

 その事実が洗礼の儀が執り行われた際、兄・ジュリオによって暴露される。
 彼女の皇女としての人生が終わり、ノーマへと断定された瞬間である。

 我が身に降りかかる禁忌すべき真実を受け入れることが出来ないアンジュリーゼに迫り来る銃弾から庇い、一人の女性が地に伏し、血のカーペットを作り出す。

「……護りたかった、貴方を真実から……。生きるのです、アンジェリーゼ、何があろうと生きて……」
「いや、嫌ぁ!お母さま、お願いします、死なないでください……!」

 愛する我が子の未来を想い、ミスルギ皇国の皇后、ソフィア・斑鳩・ミスルギの生は終わりを告げた。
 
 涙を流し、母の遺体にすがりつく。
 眼前に広がる惨状に広がる受け入れ難い光景を幾度も否定し、己の無力を、我が身に降りかかる理不尽を嘆いた。

何故、何故?

何故、母が死ななければならない?

何故、私がノーマとしてこれ程の理不尽に晒さなければならない?

 涙は枯れ、四肢は拘束され、母の遺体は無造作に処理される。
 身体を支配するは自責の念と理不尽に対する憎悪、そして何も出来ない自分自身に対する怒り

 己の許容量を超える思考の果てに彼女は涙ながらに母親を見下ろした。
 血に濡れ、自分を庇い息絶えた愛する母を


 彼女は、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギは望んだ。
 母を救う力を

 ノーマとして迫害を受ける一人の少女は願わずにはいられなかった。
 母の救済を

 哀れな道化である
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