第四十一幕:しあわせななつの虹
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えない。目を凝らしても虹が浮かび上がってくる様子も無い。
七夏「柚樹さん♪」
時崎「な、七夏ちゃん!?」
七夏ちゃんを見ると、両手を胸の辺りに持ってきて目を閉じていた。
時崎「???」
七夏「七夏は、今日とっても幸せです♪」
虹が見えると話した七夏ちゃん。俺には見えないけど、それは、七夏ちゃんにしか見えない「しあわせの虹」なのだと理解した。その虹が見えない、分からなくても嬉しい・・・この感覚は、七夏ちゃんだからこそ、俺に伝える事が出来るのだと思う。
七夏「柚樹さん?」
目が熱い。俺は、嬉しくて、泣きそうになっていたのだと思う。
時崎「あ、ごめん・・・安心したら、眠くなって・・・」
七夏「くすっ☆ 柚樹さん、ありがとうです☆」
時崎「じゃ、少し、部屋で横になるよ」
七夏「はい☆」
時崎「七夏ちゃん、お大事に!」
七夏「はい」
部屋に戻り、今朝から敷かれたままの布団の上で横になる。今日は、アルバム制作が殆ど進まなかったけど、まあ仕方がないかな。俺は、少し休む事にした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
少し休んだ後、お泊りのお客さんのご対応をする凪咲さんを手伝って、七夏ちゃんと一緒に夕食を頂いた。七夏ちゃんは「おかゆになってごめんなさい」と話していたけど、俺は七夏ちゃんと一緒の「おかゆ」がいいと話した。
夕食後、少しアルバム制作を進める事にした。明日は、七夏ちゃんと水族館へお出掛けする予定だから、その分、少しでも進めておいた方が良いと思う。
トントンと扉が鳴った。七夏ちゃん、まだ起きているのだろうか?
時計を見ると、日付が変わろうとしていた。少しのつもりだったけど、結構長時間、作業を行っていたようだ。
七夏「柚樹さん。七夏です」
時崎「七夏ちゃん。どうぞ!」
七夏「こんばんはです。柚樹さん、まだ起きてました?」
時崎「あ、ああ。七夏ちゃんも!?」
七夏「私は、お休みしていたのですけど、ちょっと眠れなくて・・・」
時崎「七夏ちゃん、今日はお昼も寝ていたからかな?」
七夏「はい☆ それに、明日、水族館、楽しみで☆」
時崎「今日の二の舞にならないように、早くお休みしよう!」
七夏「はい☆ 柚樹さんもです☆」
時崎「ああ! おやすみ! 七夏ちゃん!」
七夏「おやすみなさいです☆」
お休み前に、七夏ちゃんと少しお話しができた。このようなちょっとした事が、とても大きく感じられる。俺は七夏ちゃんに「しあわせの虹」をもっと届けてあげたいと思うのだった。
第四十一幕 完
−−−−−−−−−−
次回予告
幸せは見える物ではない。だけど、幸せかどうか気付く事は出来る。
次回、翠碧色の虹、第四十二幕
「見えない虹に気付く時」
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