聖杯のキミ達とエミヤなオレ達
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イリスフィールとも別人である。
カルデアにいると忘れそうになるが、サーヴァントとはそういうものだ。俺との事を覚えているエミヤや、アルトリア達、クー・フーリンなどが異例なのである。異例、特例、この業界はそんなのばっかりでもあるが。
仮初めのサーヴァントだと言ったのは、彼女が聖杯だからだろう。実質、俺やカルデアへの魔力負担はないと言える。極めてエコな性能だ。
アイリスフィールに断りを入れてステータスを見る。スキル構成も。……こちらも素晴らしい。
「アイリスフィールさん。貴女の宝具は?」
「真名は『白き聖杯よ、謳え』よ。ランクはBで種別は魔術宝具。最大で二十人ぐらいかしらね、効果範囲に含められるのは」
「効果は?」
「私が味方と判別した人の傷、疲労を回復して、バッドステータスを全解除する事ね。あ、あと火傷とか呪いとかの持続するダメージの類も解除されるわ。霊核の欠片でも残っていれば、戦闘不能状態となったサーヴァントの復活も可能よ」
「……」
内容を吟味する。すると例えば輝く貌の槍兵が保有していた、呪いの黄槍の呪詛やゲイ・ボルクの治癒阻害も無視して癒せるという事か。ふむ。……ふむ。なるほど。
ちらりとアーチャーを見た。
「その得意気なしたり顔をやめろ」
どうだ俺のガチャ運は。生粋の幸運Eであるアーチャーには縁のない運気だろう?
「イリヤスフィール達の事を考えなければな」
心を読んだ、だと。いや、それはいい。
俺は三人に向き直り、食事に誘うことにした。
「こんな所で立ち話もなんだ、食堂に行こう。急いで話してもイリヤと美遊には難しい話かもしれない。ゆっくり事情を説明する。その後に、君達の事情を教えてくれ」
「ご飯!? お兄ちゃん、もとい暫定お兄ちゃんが作ったの!?」
「そうだぞ、イリヤ。あと普通に呼んでくれ。暫定とかつけなくていいから。ああ、それから味の方は期待してくれていい。単純に言って、家庭料理の域を出なかった十年前の俺とは違うという事が分かるぞ」
ごくりと生唾を呑み込むイリヤの素直な反応に、俺とアーチャーは微笑んでいた。
どこか遠慮のある、距離感の取り方に悩んでいるらしい美遊を抱き上げ、慌てるその少女をだっこして食堂に向かった。途上、最初はもがいていた美遊だったが、最後には諦めて大人しくなっていた。頬を染めている美遊に、アイリスフィールが苦笑する。
「女たらしね、マスターは」
「ん? 子供たらしの間違いだろ」
これでも子供に好かれる事に定評のあるお兄様なんだ。断じて女たらしではない。寧ろ子供以外は、厄介なのばかり寄ってくるから困っているぐらいである。
女難の相、割と命に関わる事案ばかりなのは本当に勘弁してほしかった。
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