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人理を守れ、エミヤさん!
聖杯のキミ達とエミヤなオレ達
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て熟知してある。今から話す事に余計な茶々は入れるな、入れたらお前とイリヤの契約を切るぞ」
『あははー、そんな事が貴方に出来る訳が――って「破戒すべき全ての符」!? 投影出来るんですかこの世界の士郎さんは!?』
「黙ってろ。せめて今だけは」
『あははのはー。……はい、今だけですね』
「訂正。話が終わるまでだ」
『!? この士郎さん、出来る……!』

 投影した『破戒すべき全ての符』をチラ見せして、投影を解除する。イリヤは俺の投影にまた大騒ぎしそうだったが、ともかく。――黒髪の娘は寂しげにしていた。まるで少なからず落胆したような……。

「ぁ」

 小さい子のあやし方はお手のもの。俺はその子の傍に膝をつき、目線を合わせて微笑んだ。そっと手櫛で髪を梳いてやる。

「君の名前は?」
「み、美遊です……美遊・エーデルフェルト……」
「エーデルフェルト? ルヴィアの所のか。アイツの所に世話になってるんだな……で、本当の名前は?」
「っ?」
「最初、俺の事を兄と呼んでいたな。なら君も平行世界の俺とは兄妹だった訳だ。エーデルフェルトじゃなくて、本当の名前を教えてくれ」
「お、お兄ちゃん? で、いいのかな……? ええっと、暫定お兄ちゃん! 美遊にはお兄ちゃんに似たお兄さんがいるってだけだよ!」

 イリヤの言葉に目をぱちくりさせる。アルトリア顔ならぬエミヤ顔が平行世界には沢山いるのだろうか? なんて悪夢だ。
 しかし、美遊と名乗った娘は小さな声で何事かを呟いた。――それに、俺は口許を緩め、ワシャワシャと頭を撫で付けた。

「――分かった。よろしく、美遊。俺の事は好きに呼べ。お兄ちゃんでもいいぞ」
「……! ……はい、士郎さん」
「固いな」

 苦笑いし、立ち上がる。さて、と呟いて間を置き、空気を変えた。
 まずアイリスフィールを見る。

「気遣い感謝する。まずは貴女だが、真名とクラスを教えてくれ。差し支えなければルーツも」
「ええ、了解したわ、マスター」

 するすると動いてイリヤの背後に陣取り、ひしりと抱き締めるアイリスフィール。困惑ぎみにそれを母の腕の中から見上げるイリヤ。
 なんで抱き締めた、というツッコミを呑み込みサーヴァントを促す。

「真名はアイリスフィール・フォン・アインツベルン、クラスはキャスター。ルーツは大聖杯の嬰児――って言えば伝わるかしら? 大聖杯に還った端末が分霊としてサーヴァント化したもので、仮初めのサーヴァントね。だから座に私はいないわ」
「……カルデアの召喚システムはガバガバだからな。そういう事もある、のかもな……」

 無理矢理納得する。しかしアイリスフィールだとは言っても、厳密には別人だろう。冬木での件を記録として引き継いでいるだけで、実際の冬木にいたどの世界線のア
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