聖杯のキミ達とエミヤなオレ達
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に、目が点になる。
お兄ちゃん……? いやいや、そんなまさか。愕然とする二人を訝しむ。が、流石に現実逃避も無理が出た。俺は嘆息し、腹を据え、問う。
「キミ、名前は? もしかして、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンだったりするか?」
「ひぇっ。わたしの名前……!? や、やっぱりお兄ちゃん!? ていうかなんで二十八歳!? なになにわたし達今度は十年後の世界に来ちゃったのー!?」
「……」
……。
……え、誰この娘。
目が点になるテンション。俺の知るイリヤとはあまりに違う、年相応の天真爛漫さ。思わずアーチャーの方を見ると、アーチャーも目を点にしていた。よかった、俺の記憶がおかしいわけではなかったらしい。
表情を忙しなく動かし、わたわたと手足をばたつかせる様は、どう考えてもあの愉快犯的な小悪魔属性を持つ妹、もとい義姉のものではない。
俺はこめかみを揉む。どうすればいいのか考えた。すると、イリヤらしき少女がズビシッ、と擬音付きで人差し指を突きつけてくる。
「う、嘘だっ! だってお兄ちゃん、そんなに身長高くないもん! こんなカッコよくないもん! 髪白くないもん! そんなに筋肉ついてないもん!」
『いやー、どうやら嘘じゃないと思いますよイリヤさん。生体反応がほぼ完全に一致してますし』
「嘘でしょルビー!? え!? 本物のお兄ちゃんだわーいじゃなかった、うぇえええ!?」
嘘でしょ遠坂……なんかこの杖、幻覚じゃないらしいんですが……。
しかし今のやり取りで大方の見当はついた。というかあのゼルレッチの黒歴史であるステッキがいる時点で察しがつく。伊達に遠坂の実験失敗に巻き込まれてはいない。
第二魔法、平行世界の運営。端的に言って、この娘達は平行世界のイリヤ達なのだろう。それなら全て納得がいく。アーチャーの意見を訊こうと目を向けると、アーチャーは虚ろな目でステッキを見ていた。思い出しそう、しかし思い出したくない、そんな様子。記憶が磨耗しているが、それでも忘れられないトラウマでもあるのか。
甘いな、俺なんてトラウマなんてもの――腐るほど有りすぎてなんともないぜ。
……あれ、なんでだろう。涙が出ちゃう。でも仕方ないよね、男の子だもん……。
「よし!」
切り替えていこう。左右の掌を打ち付け合う。場が混沌としている時、交互に喋っていたのではどうにもならない。順番に認識と知識を交換するのが最善だ。
俺が手を打ち鳴らしたのに、びくりとするイリヤ達。俺は気を引き締め直す。そして釘を指しておくのも忘れない。
「カレイドステッキだな」
『おや? 私の事をご存知で?』
「遠坂のバカと色々あってな。あの時は笑わせてもら――ごほん。大変な目に遭わされた。だからお前の遣り口、性格、全
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