人理守護戦隊エミヤ(前)
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英霊を英霊たらしめている信仰心が薄い英霊か、或いは生前に世界と契約を交わし、死後の自身を売り渡した元人間と言えば分かりやすいか? 衛宮士郎を救いたくば、このアラヤの枠組みから脱する他に手立てはない。既に死んでいる私は不可能だが、まだ生きている衛宮士郎ならば絶対に不可能とは言えないだろう」
「つまり、アーチャー。貴方はこう言いたいのですか? 『シロウをアラヤの走狗にしないで済ませる方法は、霊格の高い英霊として祀り上げる必要がある』と」
「その通りだ、セイバー」
早い話、アラヤが掃除屋として運用できるのは格の低い英霊のみだ。例外は世界と直接契約した者のみ。そしてこの世界の衛宮士郎は、契約した状態からスタートしてはいるが――生憎と本来のこの世界の衛宮士郎は『契約していない』し、その意思もなかった。
であれば、不可逆の事象が成立する。契約する意思のない者が巨大な功績を打ち立て、人々の信仰を集める事で高位の霊格を手にすれば、それは英霊として祀られるに相応しい存在となる。
現代では英霊は生まれにくい。なぜなら世界を救う程度の功績では、英雄とは言えなくなっているからだ。しかし何も功績とは世界を救うばかりではない。不特定多数の人間を明確に救い、その功績の認知度が高まり――未来の教科書に載るほどの存在になれば、充分に英霊として認められるようになる。
かもしれない。
「なんだそれは」
「だから、あくまで可能性だ。この人理復元の旅は、生憎と功績だと認められはしないだろう。世界は既に滅んでいる。滅んでいるモノがどうやって功業を評価する? 奴は宛のない旅を続けねばならない。高位の英霊だと認められるに足る功績を打ち立てねばならない。さもなくば、奴は永劫に人類の掃除屋となる」
高位の霊格を持てば、それは『エミヤシロウ』ではないという解釈が成立し、奴の中のオレは分離されるだろう。或いは同化したままかもしれないが、奴の能力として組み込まれるだけだ。
まあなんだっていい。どのみちオレにしてやれる事など――と。アルトリアやオルタは、互いを一瞥して頷き合っていた。
「決めたぞ、アーチャー」
「ええ。私も」
「……何をだ?」
思わず問い掛けると、アルトリア達は決然と言った。
「愚問だ。この人理修復を巡る旅が終われば、」
「私はカルデアに協力した報酬として、回収した聖杯の使用権を貰います。それで受肉を果たし、シロウを助ける為に共に在る」
「――そういう事だ」
「……」
それは、また。随分と思いきったものだ。
笑ってしまう。嫌みではない。未来を語る事の出来る彼女達が、酷く眩しい。
――マシュが顔を曇らせたのに、不意に気づいた。
どうかしたのかと訊ねようとする。彼女もきっと、あの男を助けたいと望んでい
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