人理守護戦隊エミヤ(前)
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に入れ込まれているらしい。オルタではない方のアルトリアも、黙ってはいるが痛いほど重い視線を突き刺してきている。
オレはそれが、少し妬ましい。しかし彼女達のそんな感情を得たのは、この世界の衛宮士郎だからこそだろう。彼女を救えなかったオレに、つべこべ言う資格はない。妬みをおくびにも出さず、首を左右に振った。
「あの男の結末は既に決まっている。これを覆すには、あの男がまだ生きている内に、その魂を跡形もなく焼却する以外に方法はない」
「ですがアーチャー、貴方は然程この問題を重く捉えていないように見える。まさか貴方は、シロウがどうなろうと構わないと思っている訳ではありませんよね」
「無論だ」
色々と複雑だし、思うところが何もない訳ではないが。オレとあの男は名前が同じなだけの赤の他人。くだらない私怨を交えるつもりはない。
「あの男が自らの意思で世界と契約するような愚か者なら、同情の余地は微塵も有り得ん。しかしあの男の状態は、謂わば詐欺によって不当な契約を結ばされた被害者のようなもの。ならば私も、なんとかしてやろうと知恵を絞りはする」
「では」
「――と言っても、期待はするな。私とて確証があるわけではない。何せこんなもの、はじめて耳にする例だ」
桜が聞き耳を立てているのを察して、その頭を軽く撫でる。気持ち良さそうに目を細める桜に、食事を続けるように促して意識を逸らすと、真剣に話の続きに耳を傾ける三人に向き直った。
アルトリア、オルタ、マシュ。――まったく、あの男も罪な奴だ。こうまで慕われているのを見せつけられると、同族嫌悪すら出来ない。
「同化した魂を切り分ける事は不可能だ。なんであれ私とあの男は、性質的な意味でほとんど同一人物だからな。どこからどこが本来の奴の魂かなど、第三魔法による魂の物質化を実現しても見分けはつくまい」
ふと、食堂の外で聞き耳を立てている存在に気づく。……こんな話をわざわざ聞きに来るとしたら、後はロマニ・アーキマンぐらいだろう。
そんな所にいないで、食堂の中に入り聞けばいいものを。奴なりに罪の意識があるらしいが、そんなものはお門違いだ。
「私が考えるに対策は一つ。それは世界の認識する『エミヤシロウ』と、あの男が完全に別物だと認識させる事だけだ」
「……どういう事ですか?」
いまいち意味が伝わらなかったのか、マシュが首を捻る。
「ふむ。マシュ、君は抑止の守護者がどんな存在か知っているかね?」
「はい、一応は」
「なら話は早い。細かい解説は要らないな。簡単に言うと私のような霊格の低い英霊は、人類を守るアラヤの抑止力に組み込まれる。名のある英霊は様々な理由で、アラヤではなく星寄りの――つまりガイア寄りの存在になっているからだ。
そうだな……守護者として該当するのは、
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