人理守護戦隊エミヤ(前)
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も、その姿を見て、声を聞けば、鮮明に思い出せる。
それで悟った。その名前で理解した。あの男がどこで戦っていたかを知っている。
「なんでさ」
頭を抱えた。
「……なるほど。そんな事が……」
カルデアの食堂で、事の経緯を説明して貰う。
そしてオレの一応のマスターである、あの男の状態も把握した。
この世界の衛宮士郎の体験した、冬木の第五次聖杯戦争。そしてそのガワを被せられた、第六次聖杯戦争。第五次時点で大聖杯に焚べられていたオレの魂を、アラヤによって憑依させられ同化した存在。
故に別人でありながら似たような、しかし決定的に異なる軌跡を紡いだ『エミヤシロウ』が此処にいる。――天井を見上げ、そして瞑目した。アラヤの抑止力の遣り口には、いつだって苦い想いをさせられる。
「あ、あの、エミヤさん。先輩は……どうなるんでしょう……?」
向かいの席に座っているマシュが、心配げに問いかけてくる。オレはなんと答えたものか、頭を捻るも――有りのままを伝えるしかなかった。
「恐らく、死後はアラヤの奴隷として組み込まれるだろうな」
「そんな!」
本来あの衛宮士郎は、決してオレと同じ末路を辿る事はなかっただろう。
人間性が違いすぎる。あの男はあくまでオレと起源を同じくするだけの、完全な別人なのだ。エミヤシロウはあのように、自分を大事に出来る男ではない。エミヤシロウはあのように、他を省みる事の出来る人間ではない。借り物の理想しか見ていなかったエミヤシロウとは、決定的に違う。しかしそこにエミヤシロウという余分な魂を同化させられた事で歪み、本来目指していた正義の味方とは異なる道を歩んだ。
そして自身の人間性こそ保っているものの、その魂は限りなくオレと同じと見ていい。でなければ、奴の固有結界にオレと同じ歯車などないはずなのだから。
マシュの悲鳴じみた反駁を受け顎に手をやる。傍らの席に桜がいるのが、どうにもやりづらい。
「……士郎さん、どうなっちゃうの?」
「君が気にする事じゃないさ。……それから、紛らわしいから私の事はアーチャーと。君を助けた男を士郎と呼べばいい」
「うん」
フォークでパスタを不器用に絡めとり、口周りを汚しながら頬張る無垢な様に頬が緩む。
しかし……なんだ。何故そのフォークが宝具化している。桜の状態も聞かされたから、一応は理解は出来るが、フォークはどう考えても『武器』のカテゴリではないはずだ。
「アーチャー、対策は何かないのか。私のシロウを、アラヤ如きの走狗にさせるなど、想像するだけで腸が煮え繰り返る」
オルタが漆黒のドレス姿で脚を組み、苛立たしげに問いを投げてくる。よほど、この世界の衛宮士郎は騎士王
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