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人理を守れ、エミヤさん!
人理守護戦隊エミヤ(前)
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ら再派遣されてきたアルトリアが聖剣を振るう間を稼げた。

「……アーチャー」
「戻ってきたか、アーチャー。大儀だったと一先ずは労ってやる。褒美だ、受け取れ」
「む? セイバー、何、をッ?」

 アルトリアと、オルタリア等とあの男に呼ばれていた騎士王達。涙が出るほど懐かしい彼女に、こうして出迎えられるのは感慨深い。
 しかしアルトリアはなんとも複雑な目をして、オルタにいたっては無造作に腹部へ鉄拳を見舞ってきた。躱す事も儘ならずに直撃され、思わず蹲りそうになる。腹筋が爆発したような衝撃だ。だが手加減はされていたのだろう、本気だったら間違いなく悶絶していた。

 いきなり何をと抗議しようとするも、オルタは鼻を鳴らして踵を返した。そのまま召喚ルームを後にする黒き騎士王。アルトリアはそれを見送ると軽く頭を下げた。

「すみません、アーチャー。私の側面が八つ当たりをして」
「……八つ当たりとは? 私が彼女の気に障る事をした覚えはないが……まさかあの男が何かしたのか?」
「いえ……詳しくはまた後で。一応忠告をしておきます。アーチャー、貴方はとりあえず、覚悟しておいた方がいいかもしれません」
「覚悟? 何を覚悟しろと?」
「では私もこれで。ご苦労様でしたアーチャー。言い遅れましたが、貴方と再び共に戦える事は、私としても心強い」

 不吉な物言いに嫌な予感がする。
 なんだというのか。立ち去るアルトリアの背中を困惑して見送るオレに、マシュは固い顔で近づいてきた。

「お疲れ様でした、エミヤさん。それと、再召喚に応じて下さり感謝します」

 このカルデアにエミヤは三人いる。あの男に、オレに、IFの切嗣だ。気を取り直してマシュと向き合う。

「……構わないさ。私としてもこんな途上でカルデアから脱落する気はない。処でマシュ嬢、あの男はどこだ? なんなら……。
 ……? ……ま、マシュ? その娘は……?」

 不意にマシュの背中からひょっこりと顔を出した幼い少女に、古い記憶が刺激される。
 思わず顔を引き攣らせた。まだ小学生になったかならないか程度の、幼い少女の髪は薄紫の色彩を帯び、感情の薄い瞳でこちらを見上げてきている。マシュの服の裾を握り、オレを見る目は酷く小動物的で――この少女が、オレにも縁深い存在である事を予感させた。
 マシュが何かを答えるより先に、少女はマシュの後ろから問い掛けるように口を開いた。

「……はじめまして。わたしは、間桐桜、です。あなたは、士郎さん……ですか?」
「――」

 その、姿が。どうしようもなく、己にとって大切で――救えなかった者と重なる。日常の象徴だった、大切な存在だったヒトの、幼い姿。それを見間違うなど、どれほど磨耗していても、まず有り得ない。例えどうしようもなく摩り切れていて
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