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妖精のサイヤ人
第二話:茜色のサイヤ人
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!あのおにごっこも楽しかった!」

「つぎもまた新しいあそびがしたい!」

そう次々に言う子供たちに対してネロは目を見開きながら、そして心が暖かくなるのを感じた。
確かに、強くなりたいと思う。
できることなら早く夢を叶えたいとも、焦ってしまうのもある。
強くなりたい――――そして、強くなったらみんなを守りたい、その気持ちが生まれてしまう。

「――――ネロお兄ちゃん」

躊躇い勝ちになる茜色の少年に対し緋色の少女は震声でありながら、しかしそれでも聞かなければならないことを聞く。

「また、帰ってきてくれるよね…?」

「――――うん」

気がつけば、妹に返答していた。
少女に言われたとき、もうその気持ちは完成していた。

―――強くなったら教会のみんなを、大切なみんなを守りたい

そう決意した茜色の少年―――茜色のサイヤ人は強くなる理由をもう一つ作った。
自分のため―――大切な人たちを守るために










―――――村が燃えていく様を見ながら、茜色のサイヤ人はその時のことを思い出すのだった。










○●○●○●

翌日。

ローズマリー村の昼過ぎに、一つの馬車が走る。
その後ろに中年の男性と女性、そして子供たちに見守られながら。
馬車の中にいる少年は後ろの者たちを見つめ、そして前へ振り返る。
次は強くなって、そしてみんなが誇れるような戦士になることを夢に見ながら―――――

―――――馬車が走る森の中、木の陰に一人佇んでいた。
その馬車を見つめ、その者は付いていく。
ゆっくりと、しかし決して遅くない速度に。

「…ええ、楽しみです。貴方が”帰ってくる”ことを―――――ネロ様」

妖艶な笑みを浮かべるその存在は、その赤い瞳で心待ちするように馬車を見つめて。

まだ、この物語は進み始めたばかりだ。

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