第二話:茜色のサイヤ人
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っているでしょうが、私たちは優しい君が好きなんですから」
ネロは恥ずかしげに笑みを浮かべながら、「はい」とだけ答える。
元からそう言わなくても、踏み間違えるつもりはない。
自分が強くなりたいという想いの原点は、正義の味方のように見えたあの武道家だったのだから。
戦いが好きな優しいサイヤ人に、オレもなりたいと思ったから。
「それで、いつ頃に出発を?すぐというわけでは…」
「明日です」
「…はい?」
「明日です」
「…早くない?」
「早いですね」
「…えぇ…?」
まさかすぐに行動するとは思わなんだ。そう聞こえるくらいに神父に動揺と疑問が浮かび出ていく。
それに対してネロは苦笑いして申し訳なさそうに告げていく。
「さっきの村の商人から話聞いてですね…なんか近頃、花咲く都…だっけ?そこで武道会みたいなのが出るみたいなんすよ」
「花咲く都…成る程、クロッカスですか。あそこは所々も花が咲いていますから見物に良い場所ですね。…そういえば最近、小さいながらも武道会場を造っていたという風の噂で聞いてましたが…」
「そう、そこに行こうかと。それに明日から出発しないと武道会の日程が合わないらしいんすから、できれば明日早く行きたいんです」
「……ハァ…」
何故今日その話が出ていたのか、そういえば今日子供たちにお買い物などお願いしていたが…まさかそのときに聞いたのか?…おのれ商人。
神父たる男は、心の中で愚痴るのだった。
「…とりあえず、皆が風呂入り終わってからそのことについて話をしましょうか」
「…いきなりで本当にすみません」
○●○●○●
教会のみんなが入浴し終わった頃、神父は子供たちやシスターを食堂へ集めて大切な話を始めた。
食堂にあるテーブルに人数分の席を用意し、その中央に神父とネロが座っている。
シスターは子供たちと同じ席に座っており、眠そうにしていた子供たちの相手をしている。
一方、緋色の少女はどこか不安げに自身と似た髪の色の少年を見ている。
「皆さんを集めたのは大事な話があるからです。…ネロくん」
「はい」
ネロは大きな音を出さないように立ち上がり、場にいる者たちの顔を見てから口を開く。
頬に非汗が流れているのは緊張からか。
(いや…エルザちゃん、そんな目で見ないでお兄ちゃんまで不安になるから)
不安げにネロを見ているエルザに対して何故か罪悪感を感じながら彼は言葉を並べる。
・明日クロッカスに向かうためにこの村から出て、また旅を始めること。
・また強くなったらこちらに遊びに来ること。
・本当の別れじゃないから寂しがらな
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