第二話:茜色のサイヤ人
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けど、私のお父さんは、お母さんはちゃんとここにいる。
それを、お兄ちゃんに教えてもらったんだ。
…あっ、お兄ちゃんにありがとう言うの、忘れちゃった。
○●○●○●
SIDE:三人称
ネロ・ハバードにとってこの武者修行の旅は重要だ。
強くなりたい、テレビの向こうで見ていたあの人のように。
叶うことすらないと思っていた夢に、本当に近づけれる人生を手に入れた。
だからこそ諦めないし、やめるわけにいかない。
そう決意したのだ。
ローズマリー村に来て1週間、村の住民たちから徐々に受け入れらた彼は行動に出た。
初めはそのときだ。狩りを始めた翌日、夕日が沈む頃に彼は泊めてくれている教会の責任者である神父に伝えた。
「オレ、そろそろ旅を再開しようと思ってるんです」
「―――もう、ですか?まだここに居てもいいのですよ?」
惜しげにそう口にする神父に対してネロは真剣な表情で答える。
おそらく、ここでちゃんとしなければ自分はここに留まることになるだろうから。
この教会や子供たち、妹ような子と居るのは実に心地の良い時間だった。
だけど、強くなりたいのが今のネロにとって優先すべき行為だ。
別にこの村に二度と来るわけではない、永遠の別れではない。
だから、惜しげもなく行くんだ。
「次はもっと強くなって来ます」
「…そうですか、寂しくなりますね」
神父である男はこの茜色の少年がこの村に来てからの光景を思い出す。
たくさん食事をしている彼を見て驚く大人の自分と嫁と、楽しそうに笑う子供たち。
狩りから帰ってくる彼が持ってきた食肉に喜ぶみんなの姿。
お互いに共有した時間は1週間程度、しかし濃く感じられる時間だった。
これからも共に過ごしていく時間の中に、彼が居なくなるというのは寂しく感じてしまう。
「…やはり、君のその血も闘いを求めているのでしょうか。―――そのサイヤ人の血が」
神父がそう問いかけると茜色の少年―――サイヤ人の子供は頷いて答える。
その時答えていた彼は、これからが楽しみだと言わんばかりの笑み。
「そうっすね…うん、闘いも求めているだと思う。同じくらいただ強くなりたいという気持ちも」
いつからだろうか、自分が闘いを求めるようになったのは。
ネロ自身、気がついたらこのような感性になっていた。
自分を育っててくれた”親”とも言える人物に稽古をつけてくれているときも。
”闘うことが心底楽しい”という気持ちの叫びは、彼の中に大きな産声をあげていた。
「ネロくんは、優しい子です。君ならその強くなっていく手で悪に落ちることはないと思いますが…どうか、道だけを踏み間違えないでください。解
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