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妖精のサイヤ人
第二話:茜色のサイヤ人
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願いだけでも聞いてほしい…。
その想いで目の前のネロに――――お兄ちゃんにお願いするんだ。

「お姉ちゃん、お兄ちゃんも居たらなって思ったの。けど…教会にわたしより年上がいない…けど、ネロ…お兄ちゃんならって…だから…いい…?」

目が大きく見開きながらこっちを見るお兄ちゃん、びっくりしてるんだろうなぁ、こわいなぁ…お願い…だめかなぁ…なんて、頭に過るが――――

「…イイ、じゃなくオレで良いなら大丈夫」

「本当!?」

そう問いかければ頬を指で擦りながら少しだけ顔が赤くして笑顔を浮かべてくれた。
お願いを聞いてくれたネロお兄ちゃんに、神父様に褒められるときと同じような、嬉しい気持ちが跳ね上がるの感じる。

「じゃあじゃあ…ネロお兄ちゃん…!」

「おう、なんだエルザ」

呼んで気づいた、何も考えていなかったと。
だからどう返せばいいかな、なんて思ったけど素直に何も思い浮かべなかったが…前に先生と神父様のやり取りまで思い出した。

『貴方』

『はい、なんですか?』

『ふふっ、呼んでみただけ』

…いけるんじゃないかな!神父様も笑顔だったからネロお兄ちゃんも笑顔で返してくれるはず!
先生の真似するように、だけど嬉しい気持ちが抑えきれなくてつい笑いながら言ってしまう。


「ふふ、呼んでみただけ!!」

そういうとお兄ちゃんはさっきよりも顔が赤くなって、そして笑顔で答えてくれた。

「そうか…じゃあオレはトイレに行くな…」

「うん!ネロお兄ちゃん!行ってらっしゃい!!」

トイレへ向かうネロお兄ちゃんを送る。
嬉しい気持ちが収まらないせいか、最後までネロお兄ちゃんと呼びながら行ってらっしゃいと言ってしまったが、きっとネロお兄ちゃんなら気にしないでくれるだろう。
ネロお兄ちゃんが出ていったドアを見つめ、また窓へ向ける。
もう神父様たちの姿が見えない、だけど窓から映る夕日が綺麗で。
嬉しいという気持ちと相まって、また心がポカポカになっていく。

「…ああ、これが…幸せなんだね…」

「―――エルザ…ちゃん…」

ドアの向こうから聞き慣れた声に反応してそちらに顔を向ければ先生が立っていた。
口を抑えながらこちらを見つめる先生。
なんで口を抑えているかわからないけど、今の先生を見て伝えたいことがすぐに出てきた。

「先生!」

「っ…!なぁに…?」

そう、今までも何度も伝えたこの言葉。けれど、いつもよりも強めに、たくさんの”ありがとう”の気持ちをを込めて伝えよう。

「いつも、いつもありがとう!!大好き!」

「っっ…!エルザ…ちゃん…!」

血は繋がっていない
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