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妖精のサイヤ人
第二話:茜色のサイヤ人
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瞬間だった。
ふと、目の前にいるネロの目が窓に向いているのに気づいて私もそっちへ目を向けたら神父様やみんなが楽しそうに笑うのを見つけた。
――――今も会ってないおとうさんやおかあさん…教会のみんな…そうか…わたしは
胸に感じていた苦しさは、いつの間にか消えていて逆に、心がポカポカしていた。
ポカポカしていくこの心を忘れないように、私は胸元まで手を持っていきギュッと思い出が逃げないように掴んだ。
わたしは…

「―――先生が、みんなが好き。わたしが、エルザが泣いているときも、困ったときも、楽しいときも一緒にいてくれるから…みんなが大好き…!」


「…そっか」

眼の前にいるネロは、さっきの笑顔と違ってみんなが浮かべるような、とても嬉しくなるような笑顔になって答えてくれる。
おとうさんやおかあさんがどんな理由でわたしをここに置いたかわからない…けど、もし会ったら”ありがとう”って言いたい。
だって、こんなにも心地が良い家族に出会えたのだから。

「―――さて、オレはトイレにでも行くかな」

「…あ、待って!」

「ん?」

ふと、ネロが…ううん、”お兄ちゃん”がドアに行こうとするを見て慌てて呼び止める。
首だけこっちへ振り向くお兄ちゃん。…もし、このお願いが駄目だったら諦めて下の名前で呼ぶしかないけど…できれば、お兄ちゃんって呼びたい。
わたしは、確かにおとうさにゃおかあさんも欲しかったけど、同じくらいに…

『――――お兄ちゃん!帰ろう!』

そう言ってお兄ちゃんだろう男の子の手を引っ張る子のことを見て、羨ましいと思ったんだ。

「お兄ちゃん…ネロお兄ちゃんって呼んでいい?」

「えっ、別にいいけど…どしたいきなり」

「…わたし、他の家のみんなが羨ましかったの。みんな親がいるから、わたしも居たらなって…。それに」
 
どう言葉にすればいいか、わからなくて。神父様に教えてもらったとおりどう言えばいいかわからないけど、それでもこのお願いも本当なんだ。
最初は、血の繋がった”お兄ちゃん”かと思った。
同じ髪の色のちょっとだけ上の男の子、だから、お兄ちゃんだって。
けどきっと違う。
わたしは絵本で読んだことのあるサイヤ人さんと違って、お兄ちゃん程たたかいとか好きじゃない。
だからお兄ちゃんはきっと血が繋がっていない。
けど…ネロは、神父様みたいで、だけど男の子で…きっと、ネロのことを”お兄ちゃん”かな、って思ったんだ。
そして――――

「…わたし、他の家のみんなが羨ましかったの。みんな親がいるから、わたしも居たらなって…。それに」

不安だ、だってもし駄目って言われたら悲しいと思うんだもん。
このお
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