第二話:茜色のサイヤ人
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ちまう…なるか…お兄ちゃんになるんだろオレ…なら…なら耐えてみろ!!サイヤ人としての闘いはまだ活かし切れじゃあいねえが…ここで負けちまったらサイヤ人である前にただのクソガキへ変わっちまう…耐えろ…そして打ち勝てネロ!!
「ふふ、呼んでみただけ!!」
グハァ…!!
「そうか…じゃあオレはトイレに行くな…」
「うん!ネロお兄ちゃん!行ってらっしゃい!!」
浄化されそうになりながらもなんとか子供部屋から抜け出し、すぐ近くに居た人にバトンタッチするように手を上げてトイレへ向かう。
「―――エルザ…ちゃん…!」
バトンタッチした人はなんとか涙を拭きながら子供部屋へ入ろうとしているの見ながら、オレは満足気に前を向きながら
「―――やったぜ」
これでいいだろう、もうオレの出番は終わりだ…ウッ…トイレまだぁ…?
○●○●○●
SIDE:エルザ
「――だってオレを捨てたかもしれない親のこと、今更情の欠片も抱ける気がしないしな。まぁちゃんとした理由があるのならちょっと認識が変わるかもしれないけどさ」
そう口にする人…ネロはこの教会の子と違い、先生たちが時折見せるような表情に似た笑みを浮かべて言う。
最初に、会ったときは…もしかしたらネロはなにか知っているかもしれない、なんて思ってた。
同じ髪の色をしたこの人は、同じ血が繋がった人なのかもしれない、なんて。
だって、村のみんなは同じ髪色じゃないんだもん。
村のおばさんにも「エルザちゃんは珍しい髪色しているわねぇ」なんて言われたこともある。
だからこそ、珍しい毛色のこの人なら本当のおとうさんとおかあさんのこと知ってるなんて希望を持っていたのに。
どこか、心が冷えていくような感覚を感じていく。
胸の苦しみが、大きくなっていく気がした――
「全然一緒に居てくれてねえ顔も知らねえ両親か、ずっと辛い時も嬉しいときも側にいてくれる家族、エルザはどっちが好きなんだ?」
「――――」
そして、頭からいろいろ浮かんでいく。
わたしがはじめて怪我したとき、痛い痛いと言うわたしに手当してくれる先生の悲しそうな顔が。
勉強のときに困っていたら、神父様が頭を優しく撫でてくれながら教えてくれるときの安心するような顔が。
一人遊んでいるとき、他の子供たちが家に帰るときでも、一緒に遊んでくれるみんなの楽しそうな顔が。
様々なことが頭に浮かんでいて…そして気づいた。
そっか…これは、思い出。みんなと居て感じた思い出。
本当のおとうさん、おかあさんがいなくても…こんなにも色が付いているわたしの思い出が心にあることを…”私は”確かに確信した
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