第二話:茜色のサイヤ人
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不安定な色がなくなっていた。
「―――先生が、みんなが好き。わたしが、エルザが泣いているときも、困ったときも、楽しいときも一緒にいてくれるから…みんなが大好き…!」
「…そっか」
幼い緋色の少女の黒い目はどこか剣に似た輝きに見えて、さっきより強くなってこちらを見つめていた。
まだ少し迷いがあるけど、それはもうオレがなにかするよう必要性はないな。
…会ってまだ1日も経たない少女に、首を突っ込むのが傲慢かもしれないがどうしても、似た色の髪をしたこの少女に対して、真摯に答えてしまいたくなる。
それはきっと、幼いながらも彼女が発揮しているそのカリスマのせいかもしれない。
例えまだ子供でも、天性の持ち主は幼いながらもその能力を発揮するケースも存在する。おそらくエルザもその類いだろうな。
「―――さて、オレはトイレにでも行くかな」
「…あ、待って!」
「ん?」
シスターに便所の場所を聞いてたんでそちらへ向かおうと思い振り返ったらエルザに呼び止められ、半分だけそちらへ体制を向けているような状態になる。 なんだろう…なんか今シャフっている気がする。
「お兄ちゃん…ネロお兄ちゃんって呼んでいい?」
「えっ、別にいいけど…どしたいきなり」
「…わたし、他の家のみんなが羨ましかったの。みんな親がいるから、わたしも居たらなって…。それに」
付け加えるように、先程目の力は変わらずこちらを見つめ続ける黒い瞳。
幻想していた剣の刃は、何故かこちらにロックオンするかのように向かれ…おっ?
「お姉ちゃん、お兄ちゃんも居たらなって思ったの。けど…教会にわたしより年上がいない…けど、ネロ…お兄ちゃんならって…だから…いい…?」
最後に不安げになったエルザの最後の言葉が引き金となったのか、こちらに幻想と見ていた剣が飛んできた。
しかも空気の動きとかも感じないままのような、音がないままのような…ってちょおま刺さ…ッ!
グサァッ…!
「…イイ、じゃなくオレで良いなら大丈夫」
「本当!?」
不安げになっていた顔は眩しいくらいにいい笑顔になっていくのを見て、どこかオレの心が癒やされていく。
そして、何よりも癒やされていくであろう心に生えるように突き刺さっている剣は光の粒になってオレの心に澄み渡っていく…ああ…コレ魔法?癒やしの剣の魔法なのね…まだ会って1日目だけど…エルザらしいと思えるような……。
「じゃあじゃあ…ネロお兄ちゃん…!」
「おう、なんだエルザ」
外はいつもどおりに、引き摺られないように鉄仮面ならぬ笑顔仮面で答える。
今、おそらくこの気持を顔に出したらとんでもねえクソガキのニヤげ面になっ
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