ギルドの雑用係
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モウドクゲソウがどんなに危険かを承知しているので、理由を聞いて納得した様子ではあるが、同時に心配気に眉を狭めてくる。
「普通ならモウドクゲソウの一部でも口にしたら5日も持たないけど、近くの通っている教会に頼み込んで、特別に派遣された僧侶の治癒魔法でなんとか保っている状態らしい。……けど治癒魔法を受け続けると効果が次第に薄れて来るんだ」
「いずれは死ぬ……っていうことか」
「……ああ。時間が無い。治癒魔法を使ってから今日までで既に四日が経過している。だから今日中に全てを集めきって、明日の朝には特級の薬草で作った特効薬を服用させたいと思ってる」
「そうか。急いでんのに呼び止めて悪かったな」
「いや、大丈夫だ。こと雑用に関しては俺の右に出る奴は居ないし、薬草採取もその一部で場所も大方見当はついている」
「……流石だな。伊達に『ギルドの雑用係』の異名を背負ってきただけある。ほれ、さっさと行ってこい。またな」
(その異名は正直嬉しくないが)
「おう。またな」
と、普段より早歩きでギルドへ向かうのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ギルドへ着くと、早速受注するために受付の方へ向かう。
──王都の冒険者ギルドであるためか、地方と比べて豪勢な造り、内装を施していた。
清潔感がある、真っ白く研磨された石壁、天井には正に芸術を思わせる綺麗なギルド紋章を硝子へ彫刻されたシャングリラ、広く高い天井を支える為に柱は大理石を主な素材として使用している等。
流石は王国中のギルドを牛耳っている総本山だ。格が違う。
コウセイ風に言えば『レベルがちげえ』だ。
因みにコウセイによると、相手が反則級の強さを持っていたときに『チーター』と呼んで、格の位置付けをしてるらしい。
今は朝であり、冒険者が少ないからなのか普段より広く感じるエントランスを進み、いつもの受付の前で立ち止まる。
「すみません。この依頼を受注したいのですが」
「──はーい!」
少し声を張り上げて奥の方へ呼び掛けると、ハツラツとした声で返事をする一人の受付嬢が出てきた。
「あ、エーデルさん。今日も早いですね。おはようございます」
「おはようございます。リーアさん。俺の場合稼ぎが少ないので早く来ないとですからね」
受付嬢であり、実は冒険者でもあった俺より一歳歳上のリーアさんは、冒険者として活動し始めた三年前からの間柄だ。
冒険者としての基本を教えてもらった先生でもあり、色々と迷惑もかけてきたので、国王や騎士団長の次に頭が上がらない人でもある。
綺麗な黒い髪を横で結えた可愛らしい髪型でありながらも、宝石のような金眼は美しい雰囲気を醸し出し
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