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勇者に恋人を奪われて引退した元救国の騎士の復活譚
ギルドの雑用係
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たらそうかもな。今日は薬草採取だ」

 「へえ。……ちょっと依頼書見せてくれるか?」

 「いいぞ。ほれ」

 バックパックから依頼書を取りだして、それを渡されて見た瞬間、ロイスは「……お前、これって」と顔を渋くさせてそう聞いてきた。
 その時点でロイスが何を言いたいのか察することが出来たので頷く。

 「まぁな」

 「まぁな、じゃねえよ。お前この依頼どう見ても採ってくる薬草の数と報酬額が釣り合ってねぇじゃねえか」

 「それはそうだけど、掲示板に貼り出されて一週間も放置されてるのって……なんか、こう……ね?」

 「なるほどー……ってなるかい。またやってんのかよ。しかも何回目? こういう放置されてるような明らかに受注した側が不利益になる依頼受けるの。何? お前まさか進んで自分から虐められたいとか、そういうの好きな変態なの?」

 「変態な訳あるかよ」

 全く、偏見も良いところである。

 「じゃあさっさと答えんかい。これでもお前の生活のこと心配してるんだぞ」 

 雰囲気は軽いものの、その表情は真剣そのものだ。

 「そりゃありがとな。まあ、気分だよ気分」

 「……気分でどうして上質な薬草50個なのに報酬額が50シルバーな不当しかない糞依頼を受ける気になるんだよ。てかそろそろ真面目に答えろ」

 「糞依頼とかいうなよ。確かに、この依頼は仕事量を考えれば本来10ゴールド以上の報酬額が妥当だ。けど昨日、この依頼を出した依頼人の元へ訪ねてみたんだよ」

 「……ああ、なんかもう訪ねたのが受ける理由ってとこで概ね予想が出来たわ」

 そう言った時点で察したようだったが、一応心配もさせてるので構わず続けた。

 「そしたらその依頼人が貧しい家の10才くらいの女の子でさ……依頼理由が『母親が採ってきた山菜にモウドクゲソウの一部が混じっていて、そうとは知らずにスープを作って先に口にした母親が倒れてしまったので、特級の薬草を作るために上質な薬草を集めてきて欲しい』って奴だったんだよ」

 ──モウドクゲソウ。
 
 名前の通りに、過度に触れたり、食べたりすると対象を猛毒状態にさせてしまう草だ。
 元々ドクゲソウという草だったのだが、魔物の増殖による空気中の急激な魔素の増加で、魔素を栄養とするドクゲソウが大量に取り込んだ結果、昇華したものと考えられており、別名『魔の草』とも呼ばれている。

 そんな危険な草を、彼女の母親は一部だとしても口にしてしまったのだ。

 「まあお前のことだからそういう事情が絡んでんだと思ったわ。……それで? 確か貼り出されて一週間が過ぎてたんだろ。母親は大丈夫なのか?」

 いつものことのようにやれやれと呆れた顔だ。
 勿論、一端冒険者であるロイスは
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