油断大敵だね士郎くん!
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スフィール? どうしました!?」
体を掻き抱き、苦悶の声をあげる冬の姫。呪いに侵されていくアイリスフィールの変貌にアルトリアは狼狽した。が、まあ――そう来るだろうなと予見できていた。
アイリスフィールはイリヤと同等の性能を持つらしい小聖杯だ。大聖杯と繋がりがある。故に『この世全ての悪』は、この状況を覆すために器を欲するだろう。まあ、読み通りだ。
「『破戒すべき全ての符』」
投影の凍結を解除し、手に顕した短刀をアイリスフィールに突き立てる。アルトリアが柳眉を逆立てた。
「何を!?」
「――アイリスフィールは大聖杯に乗っ取られそうだった。だから奴との繋がりを絶ったんだ」
言いつつ、俺では契約を選んで破戒する事は出来ない。故にアルトリアとアイリスフィールの間にあったパスも絶ってしまう。アルトリアは慌てた。アイリスフィールは余りにも大きな負荷を受けて気絶し、その場に頽れて昏倒する。
「お前を騙し討つつもりはない。彼女が意識を取り戻すまでの間、俺と仮契約してくれ。後で必ず契約を解き、アイリスフィールの許へ返すと約束する」
「……貴方を信じろと?」
「虚言だったら俺を斬れ。まだ右腕は動かない、お前なら簡単に俺を斬れるだろう」
「……。……承知した。ただし、貴方の傍に控えさせてもらう。偽りだったら、令呪を使う間もなく私の剣が裁く」
だめ、と桜が呟く。俺は苦笑して桜を下ろした。
「すまない、マシュ。この子を頼む」
「……はい。余り無茶な約束をしないでください」
「生憎と性分だよ。今更生き方を変えるつもりはない」
呪文を唱える。冬木式の、再契約の呪文だ。――どこかで聞いた――いや、見た? ……なんだろうか、記憶が曖昧だが覚えている。それを自然に舌に乗せて結びとすると、アルトリアは俺の手を取り仮初めの契約が此処に――
“”――キャスター、貴様……!“”
「ッ……?」
「士郎くん! 何をしてるんだ!?」
アルトリアと契約を結んだ瞬間、ビジョンが走る。激しい頭痛がした。ロマニの焦った声が響く。先輩! マシュの声が激しく鼓膜を叩いた。視界が白熱し、認識が遅れる。
アイリスフィールを器に出来なかった『この世全ての悪』が足掻いた。大聖杯から津波のような汚泥が迸っている。俺は愕然とした。アルトリアを意識する余裕もなく吼えた。
「――マシュ、宝具を展開しろ! お前なら防げる!」
「先輩も早く私の後ろへ!」
言われるまでもなく、アルトリアの手を引いて走り始めていた。だが――忘れる訳にはいかない。咄嗟にアルトリアをマシュの方へ突き飛ばし、アイリスフィールを確保すると、彼女をアルトリアへ投げ飛ばす。
「シロウッ!? 貴方は、何を
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