油断大敵だね士郎くん!
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ああ。ただし、俺はアンタと争うつもりはないがな」
一瞬だけ笑みを交換し、イスカンダルが吼える。
「さあ征くぞウェイバー! 己が召喚した者が真に最強の王であった事の証を魅せよう!」
瀑布のような魔力が吹き荒ぶ。熱砂の混じる灼熱の風が辺りを席巻し、黒化英霊らがさせじと馳せるのも意に介さず、征服王の宝具『王の軍勢』が発動した。
瞬く間に灼熱の心象風景に呑み込まれ、五騎の英霊達が消える。ウェイバーもまたイスカンダルと共に固有結界の中に消えた。
「――きっ、消えた!?」
「この感じは固有結界だ。全く――長ったらしい詠唱もなしに、展開は一瞬か。……行こう、悠長に構えている暇はない」
アイリスフィール達を促し、円蔵山の洞窟に入る。その際、アルトリアは遂に確信を得たように問い掛けてきた。
「シロウ」
「なんだ、アルトリア」
「貴方はライダーの宝具を知っているようだった。貴方は何者だ」
「――さて。その問いには、聖杯の件が済んだら答える。包み隠さず、全部な。今はそれで納得してくれ」
「……いいでしょう。確かに今は、問答している場合ではない」
やれやれ、イスカンダルの宝具展開に驚かなかった、それだけで悟られるなんてアルトリアの直感はやはり冴えすぎだ。
勘のいい手合いには理屈と言葉、態度を一貫し、煙に巻くのが一番だが……アルトリアだけはほんの僅かな失点だけでご破算になるから気が抜けない。まあいずれは勘付かれると分かっていたから、寧ろここまで煙に巻けて良かったと思っておこう。
洞窟を進んでいくと、次第に強大な呪詛に濡れた大聖杯の魔力を肌で感じられるようになってくる。アイリスフィールは目に見えて顔を強張らせつつあった。俺はふと思い出した事がある。それとなく宝具を投影し最後の工程を凍結して待機させておいた。
やがて開けた空間に出る。そして大聖杯の全貌を拝んだ。マシュやロマニも、一度は見ている冬木の大聖杯。汚染されたそれに、驚きはなかったが――アイリスフィールとアルトリアは驚愕していた。
「そんな……まさか本当に……!? 大聖杯が呪いの塊になっているじゃない!?」
「――いえ、塊ではありません。アイリスフィール、あれは、大聖杯は呪いを孕んでいます。間もなく誕生するのかもしれません。……魔術王、貴公は本当にこれを浄化出来るのか? この場で破壊した方がいいと思うが」
「浄化なら問題ないよ。『この世全ての悪』を濾過して消滅させれば、元通りの無色の魔力炉に戻る。まあ、三十分ぐらい時間をもらわないといけないけどね」
ロマニの言に、俺は頷いた。そして目敏くアイリスフィールの容態の変化を見咎める。
「っ……!? ぅ、な、なに……?」
「……」
「あ、ぁぁ、セイバー……! 逃げ、て!」
「アイリ
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