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人理を守れ、エミヤさん!
サーヴァントは神速を尊ぶ
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そこのランサーのマスターが斃したっていう双槍使いの槍兵もいるみたいだし、それに――たった今倒した英雄王もね」
「ッッッ!!」

 全員が息を呑んだ。あの無尽蔵の宝具を持つ英雄王が、幾度斃しても復活して立ち塞がる悪夢を想像して。しかし士郎は言った。

「英雄王に限ってそれは有り得ないな。聖杯の泥ごときに汚染されるタマじゃない。まあ英雄王は別にしても、俺達の中で脱落したサーヴァントが出たら、ああして聖杯の走狗にされるだろうけどな」
「……」
「ランサーのマスター。キミはどうするべきだと思う? アサシンが脱落していたら、常にマスター殺しを警戒しないといけない、バーサーカーが脱落していたら、聖杯に魔力を供給されている湖の騎士を相手にしないといけない。長期戦は不利でしかないと思うけどね」
「答えは出ているじゃないか。なあ義母さん」
「誰が義母さんよっ」

 顔を真っ赤にしてアイリスフィールが怒鳴った。士郎は苦笑し、マスター達を見渡す。

「ウェイバーくん、君に異論はないだろう?」
「うっ」

 言わんとしている事を察しながらも尻込みする少年を誰も咎めない。尻込みはしていても、逃げようとはしていないから、その小さな勇気に敬意を払っていた。

「魔術王のマスター、お前は何かあるか?」
「いえ、何も。すべき事は明瞭です」
「そうだな」

 もごもごと言い淀みそうな白い少女に士郎は微笑む。
 慈しむような笑顔に、アルトリアは一瞬、士郎を睨み付けそうになった。不可解な心の動きに戸惑う。なんだ、今のは?
 士郎は言った。自らの負傷を、まるで気にもしていないように。

「決まりだな。この足で円蔵山に急行する。一分一秒も無駄には出来ないぞ」

 兵は拙速を尊ぶと言うが、サーヴァントの拙速は神速だと士郎は嘯き。場の流れは決定された。
 異論は、誰にもなかった。





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