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人理を守れ、エミヤさん!
サーヴァントは神速を尊ぶ
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円卓にいたらどうなっていたのかと。そして――自分の傍にいて、自分をアルトリアと呼んでくれる士郎を思い描き掛け、

 益体もない想像を切り捨てる。妄想だ。くだらない。ああ、まったく。自分はどうかしてしまったのか。アルトリアは努めて余分な心の贅肉を切り落とした。

 見ればライダーとそのマスター、そしてアイリスフィールも近くに寄って来ていた。彼らに囲まれていても、士郎は飄々としている。大した度胸だ。肝が据わっている。

「心当たりならある」
「……それは?」
「あのランサーは、俺と俺のランサーで斃したからな」
「……はっ?」

 臆面もなく晒された告白に、アルトリアは虚を突かれた。そういえばそのランサーは何処にいるのだろう。そう思った瞬間、彼の傍に光の御子が現れる。
 唐突な出現。さながらアサシンのような。
 なんだというのか。存在の密度とも言える気配が酷く希薄だった。

「よぉ、マスター。戻ったぜ」
「ああ……どうだった?」
「アーチャーの野郎の始末は終わった。が、オレは御覧の有り様だ。わりぃが回復に専念させてもらうぜ」
「分かった。消えていろ」
「おう」

 報告に来ただけなのだろう。余程に消耗しているのなら、その存在感の希薄さも辻褄は合うとは思える。しかし、よもやあの常識破りの空中戦で英雄王を脱落させるとは――流石光の御子と言うべきか、それとも彼と魔術王とサー・ランスロット、そしてギャラハッドの総掛かりで尚も苦戦させられていた英雄王を讃えるべきか。
 見れば眼鏡を掛け、白衣を着た少女と、そのサーヴァントらしい魔術王も姿を現した。征服王が大声で呼ばう。――そういえば、大海魔は消えたというのに濃霧が消えない。魔術王の仕業だろうか。

「おう魔術王! あの金ぴかを打ち倒したそうだな。いや、流石は余の見込んだ王である!」
「一対一ではなかったから、誉められた話でもないと思うけれどね」

 魔術王。この男もキャスターだ。そして、黒化英霊は、ランサーにキャスター。
 士郎。魔術王。繋がりは見られない。しかし何か気になる。この違和感を感じているのは、アルトリアだけのようだが。点と点がある、だがその点が繋がらない感覚にもどかしさを覚えた。

「それで、どうするつもりだい?」
「どうするって?」

 魔術王の問いに、アイリスフィールが反駁する。それに彼は肩を竦めた。

「聖杯に呑まれたサーヴァントは無尽となるらしい。現にあのキャスターは何度となく斃しているのに、また現れた。ならまたいつか、今度みたいな騒ぎを起こすかもしれない」
「えぇ!?」

 ライダーのマスターが上擦った驚愕の声を上げる。
 魔術王はそれには構わずに続けた。

「無限に蘇生するサーヴァントなんて、敵にするなら面倒極まりない。
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