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人理を守れ、エミヤさん!
サーヴァントは神速を尊ぶ
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見詰める瞳。それに一瞬、酷く動揺しそうになった。
 思えば倉庫街で対峙した時からそうだった。戦闘に入るとその色は消えても、アインツベルンの城で会った時には再び現れ、そして今も大きな信頼と親愛の情を、なんの臆面もなく見せてくるこの男が、セイバーは苦手だった。
 この男は以前の聖杯戦争で自分と共に戦ったという。しかしセイバーにはその記憶はなかった。だから出任せだとばかり決めつけていたのだが、それならばどうしてセイバーの真名や宝具の詳細を知っているのか。こちらの戦いでの呼吸を掴まれているのか説明できない。
 勘が言っている。衛宮士郎は、何一つ嘘を吐いていないと。故に、その目と顔、親愛にも嘘偽りはなくて。セイバーは、その男から目を逸らした。

「シロウ、貴方に聞かねばならない事がある」
「ん、名前で呼んでくれるんだな」
「ッ! ……不快でしたら、ランサーのマスターと言い改め――」
「いや、名前で呼んでくれ。代わりに俺も名前で呼ぶよ、アルトリア」
「――」

 ペースが乱れる。個を捨て、国に身命を捧げたアルトリアという小娘の心臓が脈打つ。
 誰もが王としてしか自分を見ない、そう在ると誓ったが故に見ないようにしていた小娘の願望――捨て去ったはずの、アルトリアという小娘が夢想した、ただの少女としての望み。
 アルトリアは断固としてそれを押し隠した。しかし頬が赤らんでいるのには気づかず、なんとか訂正する。

「セイバーと。真名を明け透けにされると、私としては困る」
「どうせ他の奴らにも筒抜けさ。今更隠したってなんの意味もない。なら堂々としていた方が却って清々しいだろう? 嫌じゃないなら名前で呼びたいな」
「……」

 いけない。ペースが、乱れる。しかし、なんとなく察した。士郎はアルトリアに質問されるのを、有耶無耶にしようとしているのだ。それさえ分かればアルトリアは構わなかった。
 気力を込めて睨み付ける。その目に、王の迫力が欠けている自覚はなかった。

「シロウ、質問する。先程の黒化していたサーヴァントはランサーだった。貴方に何か心当たりは?」

 アルトリアが流れを断ち切って問うと、士郎は肩を竦めた。この男は嘘は言わない、ただ本当の事も言わない。これまでのやり取りでそうと見抜いた。サー・ケイが、都合の悪い事を隠す時と似たような感じだ。
 外交官としても一流に成れると、王としての目では思う。交渉や戦闘、戦術、戦略に明るい彼のような者が騎士として自分に仕えていてくれたら、きっとキャメロットの治世にも役立ってくれたのではないかとぼんやり思う。それに人間関係の調節にも器用に立ち回り、円卓の緊迫した関係を改善してくれたかもしれない。
 或いは円卓に欠けていたのは、この男なのかもしれないとすら思った。すると、想像してしまう。この男が
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