第九十話 ならず者達その九
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「そうしてだ」
「雑炊じゃな」
「それが最後だ」
河豚料理としてのそれになるというのだ。
「それでだ」
「食ってじゃな」
「最後の最後にだ」
「和菓子となるんか」
「そうなるが」
今はというのだ。
「雑炊も忘れるなだ」
「河豚にはか」
「鍋を食ったらだ」
英雄はここでは心の中で河豚鍋に限らずと呟いた、それが鱈でも鶏でもすっぽんでもというのだ。すき焼きやしゃぶしゃぶ以外ならだ。
「最後は雑炊だ」
「あんた雑炊派だったんじゃのう」
「違う奴はいるか」
英雄は仲間達に問いもした。
「それなら考えるが」
「いや、それは」
「そう言われたら」
他の面々もだ、反対しなかった。これで雑炊が決まった。
そして全て食べてだ、最後の雑炊となったが英雄はその雑炊を食べると今度はこんなことを言った。
「やはり美味いな」
「河豚の雑炊はええなあ」
耕平もそれを食べつつ言う。
「やっぱり」
「そうだな」
「あったまるしな」
「風邪をひいていてもな」
「ここまで食ったら治るわ」
「御前は風邪だったのか」
「例えや」
それに過ぎないとだ、耕平は英雄に笑って答えた。
「単なるな」
「それだけか」
「そや、けど実際に風邪の時はお鍋にな」
「雑炊か」
「そうしたものを食べて風邪薬まで飲んでな」
「よく寝ればな」
「もう治るわ」
その風邪もというのだ。
「一発でな」
「そうなるな」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「今言うたんや」
「そういうことか」
「お粥もええけどむしろな」
「風邪を治すには栄養と休養だ」
風邪に対する抵抗力を備える為にだ、風邪は万病の元というが風邪で体力が落ちてそこからあらゆる病気になってしまうのだ。
「それでだ」
「雑炊の方がええかもな」
「そうだな」
「お粥も好きやけれどな」
雑炊もというのだ。
「ほんまにな、ほなな」
「これから雑炊もだな」
「食ってくわ」
こう言って実際にだった、耕平も他の面々も河豚を雑炊まで食った。ぞの後でデザートの和菓子も食べてだった。
店を出た、そして店を出て屋敷に帰ってから桜子は仲間達に対して陽気に笑ってこんなことを言った。
「後で来るね」
「あたっていればだな」
「確か三十分から四時間だったね」
「河豚の毒がくるのはな」
英雄もこう答えた。
「それからだ」
「そうだよね」
「ただ、舌が痺れはしない」
河豚の毒にあたるとよく言われるがというのだ。
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