100部分:百.久我相国
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百.久我相国
百.久我相国
久我の太政大臣殿が皇居において皇室の方々等縁のある方以外立ち入ってはならない間において水を飲もうとしましたが女官が来て陶器の入れ物を持って来ました。ですが太政大臣殿はそれを見てそんなものではなく普通の木の入れ物を持って来るようにと言ってそれを持って来させました。そのうえでそれで飲んだのです。
些細なことであるようですがこれもまた見事な気の使い方だと思います。皇居という尊い場所においては何につけても慎み、節度を守らなければなりません。ですからこの久我の太政大臣殿は価値の高い陶器ではなく木の入れ物を使ってそのうえで水を飲んだのでしょう。女官は太政大臣殿ですから陶器を持って来たのでしょうが太政大臣殿はそれでもあえて木の入れ物を持って来るように告げそれで飲まれました。皇族の方なら陶器でもよかったでしょう。しかし太政大臣殿はお仕えする立場です。帝でも皇族の方でもありません。ですから木のものをあえて持って来させてそれで水を飲まれたのです。些細なことのようですがこれは極めて大事なことであります。こうした心遣いは太政大臣のような尊い立場にある人でも見せますしまた身に着けていなくてはなりません。この話はそうしたことを教えてくれます。まことに有り難い話であります。
久我相国 完
2009・8・22
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