五年後 消えた英雄に焦がれる少女と一人の冒険者
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かな微笑を崩さずに話始めた。
「いや、大したことじゃ無いんだけど、たださっきの授業でのリールの説明が凄く分かりやすいものだったから、何処であんな知識を集めたのか気になってね」
「ふ〜ん。ハルトはそう聞いてるけど……どうすんの? 話してみる?」
「え、ええっ……で、ですがそれはっ……そのぉ」
ハルトの疑問に、何か知っている風にイーリスはリールに促した。
話すように促されたのだが、顔を赤面させて、何処か恥ずかしさを募らせた雰囲気で渋るリールに、ハルトは困惑する。
「? どうしたんだい? 何だかいつものリールらしくないな」
「あ、やっぱハルトも分かっちゃう? このリールらしくない何か」
「それはね。小さい頃から一緒に育ってきた幼馴染だから。いつものリールは一見気弱に見えるけど、とことんまで自分を追い詰めて能力を高めていくことが出来るから、強くて真面目な印象
を受けてたんだけど……」
そんな印象を話したハルトに、イーリスはサムズアップをした。
「流石ね。で、いきなりなんだけど、このリールらしくない何かの原因、何だと思う? 是非幼馴染の意見を聞きたいなってね〜」
「うーん……」
ぐいっと近くに寄って、先程から上気していたリールの赤面顔を見つめ、見極めようとするハルトに、またリールは余計の恥ずかしさで一段と頬を紅潮させた。
「は、ハルト! 近いですから」
「あ、ごめん。うーん……そうだね。ひょっとして恋煩いじゃないかな?」
「……!!」
ハルトの言葉に図星なのか、リールは満更でもないように頬を一気に赤くした。
「正解っ! いやあ、やっぱ幼馴染みは違うねぇ! あっさりと見破られちゃったよ。ねっ? リール?」
顔を俯かせるリールを、からかうように笑顔になりながら、イーリスはハルトを褒める。
「ははっ。まあね。で? 誰なのかな? リールの想い人ととやらは」
「うーん。どうする? 教えちゃう? ねえねえ! リールってば〜」
「もうっ!! 煩い! 煩いです! イーリスは本っ当に自重してください!」
からかってくるイーリスに我慢の限界である。
リールはそう声を張り上げながら、席から勢いよく立ち上がると、教室からズカズカと出ていってしまった。
当然、残された二人はリールの張り上げた声で注目を浴びることになるが、当の本人たちはその事を気にせずに、幼き頃からの付き合いである、今では一年生の中では一番の有望株に成長した彼女に様々な思いを馳せた。
「リールが他人に興味を持つなんて、珍しいよね……」
「……うん。あのリールが、夢中になるほどの人物といえば、そうは居ないだろうけど、一体どんな大きな器の持ち主なんだろうか」
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