風雲急を告げる士郎くん!
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
分を使い潰すな。不愉快だ」
『……』
怒気を滲ませて命令する。
幾ら消滅しても再召喚が可能とはいえ、俺は誰かを使い捨ての駒にする気はなかった。何より、切嗣がそうやって動くのは、どうしても耐えがたいものを感じてしまう。
呆れたように嘆息した切嗣が、遠く離れた場所で消えながら応じた。
『君は合理的だが、そうでない感情的なものも多いな。理解できない』
「理解しろ。――いや理解させてやる。罰として、あんたにはアインツベルンのお姫様と会わせてやる」
『――それ、は』
既にアインツベルン陣営のマスター、アイリスフィールの事は目にしているはずで、やはり切嗣は動揺した。
身に覚えがなくても、因果的な繋がりがないわけではない。特異点化しているこの世界だと顔も知らないだろうが、切嗣は本来、アインツベルンと繋がりがあるのが正しい。
故にその正しさになんらかの影響は受けていて然るべきだ。そして俺のその予想は正しかったらしい。俺は可能ならアイリスフィールを勧誘するという想いを強める。無論、無理強いはしないが。
『――手厳しいな、士郎は』
苦虫を噛み潰したように、切嗣は独語して消滅する。
俺はランサーと共に斃した本来の冬木のランサー、ディルムッドの再出現に眉を顰め、今日の方針を固めようと知恵を絞る。
そろそろマシュ達も起こしておこう。桜には――そう、ミニマム・レッドデーモン・リリィの所に連れていくのがベストかと考えていると、ランサーの声で切羽詰まったふうな通信が入った。
『マスター、大変だ!』
「おぉ……本物が聞いたら頭抱えそうな声音でどうした」
『キャスターだ! 青髭の野郎が未遠川にいやがる! 野郎、大海魔を召喚する気だ!』
その報告に、俺は露骨に嫌悪を声に出す。何? と。
――聖杯の意思は、いよいよ手段を選ばず抵抗しようとしていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ