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人理を守れ、エミヤさん!
風雲急を告げる士郎くん!
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分を使い潰すな。不愉快だ」
『……』

 怒気を滲ませて命令する。
 幾ら消滅しても再召喚が可能とはいえ、俺は誰かを使い捨ての駒にする気はなかった。何より、切嗣がそうやって動くのは、どうしても耐えがたいものを感じてしまう。
 呆れたように嘆息した切嗣が、遠く離れた場所で消えながら応じた。

『君は合理的だが、そうでない感情的なものも多いな。理解できない』
「理解しろ。――いや理解させてやる。罰として、あんたにはアインツベルンのお姫様と会わせてやる」
『――それ、は』

 既にアインツベルン陣営のマスター、アイリスフィールの事は目にしているはずで、やはり切嗣は動揺した。
 身に覚えがなくても、因果的な繋がりがないわけではない。特異点化しているこの世界だと顔も知らないだろうが、切嗣は本来、アインツベルンと繋がりがあるのが正しい。
 故にその正しさになんらかの影響は受けていて然るべきだ。そして俺のその予想は正しかったらしい。俺は可能ならアイリスフィールを勧誘するという想いを強める。無論、無理強いはしないが。

『――手厳しいな、士郎は』

 苦虫を噛み潰したように、切嗣は独語して消滅する。

 俺はランサーと共に斃した本来の冬木のランサー、ディルムッドの再出現に眉を顰め、今日の方針を固めようと知恵を絞る。
 そろそろマシュ達も起こしておこう。桜には――そう、ミニマム・レッドデーモン・リリィの所に連れていくのがベストかと考えていると、ランサーの声で切羽詰まったふうな通信が入った。

『マスター、大変だ!』
「おぉ……本物が聞いたら頭抱えそうな声音でどうした」

『キャスターだ! 青髭の野郎が未遠川にいやがる! 野郎、大海魔を召喚する気だ!』

 その報告に、俺は露骨に嫌悪を声に出す。何? と。

 ――聖杯の意思は、いよいよ手段を選ばず抵抗しようとしていた。











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