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人理を守れ、エミヤさん!
風雲急を告げる士郎くん!
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だろ! 二人のアサシンがいるから偵察は代行して貰えるしネ!」
「うるせぇ! 他にもやれる事ならあっただろろ!? 神殿化してる感じはまったく分からんが、カルデアと交信して情報交換と指示を仰いだりとか! 支援物資が貰えるなら貰うとか! ネロの方の状況が何か分かれば、こっちも動き方を変えたりしないといけなくなる可能性もある!」
「あっ……」

 失念していたという反応をするロマニに頭が痛くなる。顔を手で覆いながら、俺はロマニの上から退いて嘆息した。

「お前ほんと前世魔術王なのか? 全然それっぽくないんだが」
「あ、そう?」
「なんで嬉しそうなんだよ……」

 マギ☆マリの正体がマーリンですとか法螺吹いて絶望させてやろうかこの野郎。
 まあいい。ロマニの事は元々魔術王ではなくロマニ・アーキマンとして認識している。ロマニに魔術王並みの能力が備わっているだけだ。いやほんと、何がどうなったらロマニみたいな奴になるんだ。あのソロモン王が。魔術世界最大の謎かもしれない。

 手首に巻いてある通信機を起動する。カルデアに通信を送ると、すぐさま繋がりアグラヴェインのホログラムが浮かび上がった。

「こちら衛宮。現状を報告するが、その前に何か伝達事項はあるか?」
『マスターか。では先に、こちらの把握している死国残留海域スカイでの戦闘記録を伝達しよう』
「聞かせてくれ」

 鉄壁の強面に、暗黒騎士然とした無機質さを感じさせる声音の揺れのなさに物怖じせず淡々と促す。

『ランサーは波濤の獣クリードと交戦を開始。五時間後、カルデアに戻ったアーチャー・エミヤの投影した宝具、計五十挺を搭載した量産型ラムレイ号とやらを送り込み、自動操縦によって波濤の獣へぶつけ爆破した。相応のダメージを受け、怯んだ隙を突き波濤の獣をランサーは撃破。然る後にB班のマスター・ネロと、そのサーヴァントであるアタランテ、ランサーは特異点の探索に移った』
「二つ聞く。波濤の獣の中にあったはずの聖杯は? それとネロの所にはランサーとアタランテしかいないのか?」
『聖杯は回収出来なかった。敵方のサーヴァントらしきセイバー、ランサーが言うからにはコノート最強の戦士フェルディアが現れ、これを回収。自身の霊基を強化し撤退した。凄まじい速度で、追尾するために機動力の劣る我が王は一時カルデアに送還され、状況の変化に即応できる態勢を取っている』
「了解した。敵方のサーヴァントを追跡している最中、という事だな」
『その認識で構わない。そちらの状況は?』
「アサシンは消した。不確定要素と成り得る現地の魔術師もな。何事もなければ今日中、遅くとも明日には片がつくと考えている」

 少し前までは明後日まで掛かると踏んでいたが、よくよく状況を整理してみると、後は詰みに掛かるだけである。
 
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