宝具爆発! きみがやらなきゃ誰がやる士郎くん!
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ど、その娘の体内に不純物はないよ」
「そうか」
ないということは、あるということだ。既にこの時期から、マキリの蟲ケラは桜の体内に核を逃がしていたのだろう。
考えてみれば当然の事だ。間桐雁夜という、自身に反骨心丸出しの男をマスターとして傍に置いているのだ。雁夜自身は体内の蟲で、その気になれば即座に抹殺出来るだろうが、直前に令呪を使われて殺しに掛かられたのでは面倒である。令呪を乗っ取るのも簡単な事ではない。
魔術師の常として、最悪を想定して雁夜が絶対に手出しできない所に核を隠すのは当然だ。合理的過ぎて、至極読みやすかった。
――マキリ・ゾォルケンは、他者を食い物に延命する害虫である。
しかし被害の規模で言えば、実はそれほど大した輩ではない。問答無用で死刑の即判決が決まる大量殺人者だが、時計塔が無視を決め込む程度には穏健な存在なのだ。魔術師の観点からすれば。
だが吐き気を催す邪悪である事に変わりはない。世界にはマキリ以上の残虐さ、非道さ、被害の規模を持つ輩は多数いるが、それらに全く見劣りしない外法の徒である。下手に聖杯を掴もうとしている分、危険度では段違いかもしれない。
俺は懐から薬の瓶を取り出す。
世界中を巡って探し出した霊器。それがこの瓶で、中身はお手製の鋼である。霊器の効果は単純なもので、魔力を保存する性質があった。
魔力とは基本的に魔術を使用するための燃料でしかない。しかし魔力そのものが魔術としての特性を持つものもあり、それが聖杯であったり真性悪魔のようなものである。
この霊器に名前はない。これを作製したとされる魔術師は知っているだろうが、少なくとも俺は知らない。また興味もない。必要なのはその効力だけ――即ち「魔術の特性を持った魔力でも保存できる」というもの。
俺は英霊エミヤの干将と莫耶、偽螺旋剣の存在を知っていた。そこから着想を得たのが改造宝具である。俺は破邪、浄化、退魔、排斥の属性を持った刀剣を、それぞれ一つの属性のみを残して投影した。そしてそれら四本の投影宝具を溶かし、消滅する前に瓶に納めたのだ。
瓶の中にある液体とは、即ち四本の投影宝具がその神秘だけを残した鋼のそれ。液体になってしまっているのは、そうなるように加工しておいたからだ。瓶から出ればたちまち消滅する代物であるが、それで充分だ。前以て用意していたそれを、俺はそっと桜に見せる。
「桜、すまない。変な味がするかもしれないがこれを飲んでくれ」
「お薬……?」
「ああ」
渡すと、桜はその瓶を色の無い眼差しで見詰め、そっと口をつけた。
言われるがままといった、意思の無い人形じみた姿に胸が痛むが、今はその素直さに感謝する。本当なら怪しくて言うことなんて聞いてくれないだろう。
すると、
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