強えええ!してみたかったんだね士郎くん!
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の強化の魔術は格別の効力を発揮している。極限まで鍛え込まれた人間の戦闘者を、死徒を超える怪物に変貌させるなど余りに容易い。今の白髪の男は平均よりやや下程度の英霊相手なら互角に渡り合えるだろう。性能で言えばエミヤシロウの半分といったところか。
戦闘を前提にしていない処か、複数に分裂して能力の劣化している暗殺者など相手にもならない。ましてやこの男の本質は単一の戦闘単位に非ず、本領は極限の神秘の塊足る宝具の大量生産者――撃鉄を脳裏に上げ、男は不敵に微笑んだ。
「それがお前達の答えか。了解した、これより殲滅に移る」
――憑依経験、共感削除。
口ずさむ。撃鉄が落ちた。魔術の行使の気配を敏感に察知した百貌のアサシンが一斉に仕掛けてくる。視認できる限りでも、闇夜に紛れる黒塗りの短刀は二十。巧いもので、この三倍は迫っているのだろうなと男は見積もった。
無造作に乱造した特大の剣を、己の周囲に実体化させる。盾として使う予定だった張りぼての剣だ。男の全身を覆い尽くす大剣は、老神父をも同じように包み込む。
鋼を打つ音を聞きながら言う。
「ああ――死にたくなければ其処から出ない方がいい」
警告はそれだけ。短刀の雨が止むのと同時、自身を囲んでいた張りぼての大剣の魔力をカット。虚ろに消えゆく剣を一顧だにせず、接近戦を挑んでくる無数の影に笑いかけた。
「悪く思え。後方注意だ」
注意を喚起する声が影の群れの中からも走るも、遅い。反応が間に合うことはなく、投げ放たれていた干将が担い手の許に帰還してきた。それは一体の影を切り裂き、ハサン・サッバーハらに威圧感を与える。
干将を掴み取り、だらりと両腕を落とした立ち姿で戦闘体勢を完了する。男は再び囁いた。
――工程完了。全投影、待機。
本能的に危機を察知したのか、影達は今度こそ一斉に男へ殺到した。
だが場所が悪い。狭く、長椅子などの障害物もある。男は双剣を過剰に強化しその形状を長剣のそれへ膨張させる。そうして影を袈裟に、幹竹に、水平に両断し、瞬く間に十体を切り伏せた。
ただの人間に、この有り様。怯んだように立ち竦んだ暗殺者達に、魔術王に下駄を履かせて貰っている男は苦笑してしまった。
「馬鹿め。危機を察していながら攻め続けないとは。――停止解凍、全投影連続層写」
詠唱は高らかに。エミヤのように早くはないが、精度だけは劣らない。自身を中心に扇状に展開されるは神秘の濃度だけを詰め込んだ刀剣である。
数にして三十。宝具の概念も何もないただの神秘。それでも切れ味だけは本物だ。それを、一斉に掃射するや無数の影が貫かれる。馬鹿な宝具の投影だと!? その叫びに男は苦
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