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人理を守れ、エミヤさん!
なんくるないさ士郎くん!
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り詰め、ロマニとその背後に庇われているマスターらしき少女――マシュを警戒している。急激に意識が引き伸ばされる感覚に身を委ね、俺は眼球の動きすら遅滞させられながら、ゆっくりと口火を切った。

『さて。ロマニとマシュ、ランサーはまだ現状を知らないから報告しておく』

 ソロモンなら千里眼で全てを見通してしまえるのだろうが、今は千里眼を厳重に封印している。過去現在未来の『全て』は、魔術王ならともかく人間であるロマニの魂には重すぎる。最悪精神に異常を来すか、頭パーン! となりかねない故に、使わせるつもりは毛頭ない。
 それに実際、ロマニの証言ではこの人理焼却に別の魔術王が絡んでいるらしいから、千里眼を持つ者同士は互いに認識出来るという特性上使わせる訳にはいかない実際性もある。

 ソロモンではあって、ロマニでもあるから、その知能と知性がどれほどのものかは未知数。過度な期待はしない。報連相は緊密に行う。

『ネロ達が解決に当たっている特異点の詳細が判明した。時代は紀元元年、場所はスカイ半島で特異点の名称は「死国残留海域スカイ」というらしい』
『……あー。うん。それで?』
『ランサー君。君に朗報だ。ネロ達がそこで交戦したのは体内に聖杯を持った戦神並みの怪物、ゲイ・ボルクの素材クリードさんらしい。出番ですよランサー君』
『マジか。マジなのか』
『安定の幸運Eですねぇ……』
『そりゃテメェだろマスター。今のオレはDランクだ』
『……聞かなかったことにしよう。ランサー、お前にはネロの増援に向かって貰う。悪いが拒否権はない。代わりに向こうは筋力Dの見せ筋とアサシン、オルタの三人を撤退させ、こっちにはアサシンと百貌の内一人を回して貰う。オルタと見せ筋野郎は非常時に備えて待機させようと考えてある。何か意見は?』

 忌々しげにクー・フーリンは舌打ちした。無論のこと意識領域内なので音はない。
 だが文句は出なかった。クー・フーリンはやれやれ、生前のツケがこんな所で巡って来るなんてなぁ、とぼやいただけだ。
 マシュは不思議そうに疑問を発した。

『先輩、なぜ切嗣さんと百貌さんの一人、なんですか?』
『それはだね、マシュ。士郎くんの義父は普通にアサシンとして運用する為なのと、変装技能を持つ百貌の一体を呼び寄せてランサーに化けさせて、表向きランサーが残っているっていう体裁を整えたいからさ』
『そういう事だ。実際の戦力としては紙だが、見せ札としてランサーの存在は神だ。中身ぺらぺらでも戦闘を避けたら使えないこともない。百貌はカルデアに欠かせない人員だからな、割けるのは一人だけだろうという判断もある』
『あ、はい。また始まるんですね……』

 何事かを察し、遠い目をするマシュである。なぜなのか。
 不満たらたらなクー・フーリンに俺は言う。

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