頭脳を回せ、決めに行くぞ士郎くん!
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きだと考えるが、貴女はどう思う? アイリスフィール」
畳み掛け、アイリスフィールを混乱させる。アルトリアは冷静に思慮を張り巡らせているようだが、彼女は騎士王であり魔術師ではない。聖杯のからくりと、今の話の陥穽に気づける知識がない。仮に違和感があるのを直感しても、それを言語化させて言葉として肉付け出来ないとなれば、一旦違和感を呑み込むしかないだろう。
そしてそれで充分である。俺は淡々と彼女達に告げた。
「アイリスフィール、一時聖杯戦争を中断して大聖杯を確認しに行くべきじゃないか?」
俺がそう言うと。
図ったように同意する言葉が辺りに響いた。
「――私もそれに賛同しよう。今は戦いの時ではない」
「ッ! アイリスフィール、下がって」
荒らされた森からやって来たのは、白衣を纏い眼鏡を掛けたマシュと、それを庇うように背に連れた白髪の男だった。
ゆるい表情で緊張感の欠片もないその男は、紛れもなく魔術王ソロモン。ロマニ・アーキマンである。俺の立ち位置がアイリスフィールとアルトリアの背後であった為、思わずロマニに向けて中指を立てた。ロマニはにっこりと親指で首を撫でる。男二人、確かに通じ合った瞬間だった。
「……?」
警戒するアルトリアとアイリスフィールを尻目に、ふと既視感を感じて首を捻った。
――俺の前に立つセイバー。見知らぬ男を傍らに置く、魔術王ソロモン。
ロマニが、いやソロモンが穏やかな。感情の欠片もない機械めいた声で何事かを語った。セイバーが重苦しく応じる。
――頭が 痛 い
ビギリ、と頭痛がして、眩暈を覚える。
クー・フーリンが傍らに降り立った瞬間、幻視した光景は霧散する。
「誰だ」
すっとぼけて、ソロマンに誰何する。
ソロマンもにこやかに応じた。
「私はソロモン。魔術王ソロモン。キャスターのサーヴァントだ」
狙い通り。
思った通り。
ソロマンはあたかも、こちらの思惑に乗る形で、そう名乗ったのだった。
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