頭脳を回せ、決めに行くぞ士郎くん!
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事は、ほぼ理解不能と言っていい。カルデアはまだマイナー、知名度は低い故に箱入りっぽいアインツベルンは認知していないだろう。こちらの素性を知られた可能性は限りなく零だと仮定する。というか零でないと詰むのだ。
次に脱落したサーヴァントの数。アインツベルンはサーヴァントの魂を容れる器だ。脱落したサーヴァントの数は把握しているのは確実。俺の知る限りだと脱落者は二騎。ランサーとキャスターだ。当然アイリスフィールはそれを認識している。聖杯の器ゆえに。
アイリスフィールの認識の上では、恐らく俺がすげ代わったランサー陣営で一、ソロマンのバカが討ち取り成り代わったキャスターで二。自分のセイバーで三、ライダーとアーチャーで五。計五騎が存在している。
もしもアイリスフィールがバーサーカーとアサシンが脱落していると仮定しているとしたら今後、バーサーカーとアサシンと遭遇したらシステムの齟齬に勘づくだろう。そうなる前に、こちらから手を打つべきだ。
「どうかしたのですか、ランサーのマスター」
今や赤い悪魔には全く信用されなくなった、暗い表情を意図して作って考え込む素振りを見せると、怪訝そうにアルトリアが訊ねてきた。アルトリアの気を引く仕草は把握済み。こうすれば向こうから話しかけてくるという空気の間合いを作ったのだ。
望むタイミングで、望む相手から話しかけて貰うというのは、某メシマズ国の外交官が備えている技能である。俺はそれを、頭に二つのドリルを装備した金髪のお嬢様から学んだ。
俺は纏う空気と声音を緊張した時のものに置換し、重々しく口を開いた。
「……青ペ――アルトリア。お義母さ――アイリスフィールさん。……ごほん」
いまいち役に入り込めなかったので呼び方を切り替え仕切り直す。
「一つ聞く。アイリスフィール、貴女は脱落したサーヴァントの数を把握出来ているだろう。そいつを教えてくれ」
「……私の機能を……貴方はそんなことまで知っているのね?」
答えない。
彼女は俺が第三次聖杯戦争の参加者だと誤解している。どこまでアインツベルンの内情が漏れているか気が気でないのだ。が、本当は別口からの情報だなんて教える訳にはいかない。
手に取るようにアイリスフィールの心の内が把握できる。底知れなさを感じて戦慄しているのだろう。無垢な少女を相手にしているような気分だ。
アイリスフィールは賢明な女性だった。聖杯の泥や、アンリ・マユについて話してあり、聖杯に起こっている異常を認識している以上、露見している情報を秘匿するよりも共有する事を進めようとするはずだ。
案の定、アイリスフィールは俺を警戒しつつ答えてくれた。
「貴方がどこまで、何を知っているかは気になるけど……それは後にしましょう。私の知る限りだと、現段階で二
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