貉(むじな)共の悪巧み・1
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日は鉄板焼きスタイルだ」
壁から半円にグルリと厨房を囲むように設置された、鉄板と一体化したテーブル。成る程、高級なステーキハウス等に見られる店の作りだ。
「酷い事をする奴も居たものだ。あの店は居心地が良かったのに」
「全くだ。キッチリと落とし前着けなきゃな」
視線を交わす2人の間に、一瞬バチリと火花が飛んだ(ように周りの艦娘達には見えた)。
「まぁ、今夜は祝勝会だ。楽しんで行こうぜ」
「あぁ、勿論そのつもりだ」
ニライカナイの一行も、カウンターに腰かける。金城提督はそこに、見馴れない艦娘がいるのを見つけた。
「そちらの金髪のお嬢さん、お名前は?」
「ふえぇ!?あああっ、あのっ、私っ……」
「彼女は『ガンビア・ベイ』。アメリカから試験的に譲り受けた護衛空母艦娘なんだが……生憎とウチでは運用する余裕が無くてね」
「ほう」
ギラリ、と金城の眼が光る。ガンビア・ベイが睨まれた訳でもないのにその眼光でビビったのか、ピッと小さな悲鳴を上げる。
「どうかね?君の所で預かって貰えると有り難いのだが?」
「そうだなぁ、ウチはいつでもウェルカムだからな」
白々しいやり取りだが、こういうのは建前が大事だと2人の提督はよく理解しているのだ。この新しく生み出された艦娘が、ブルネイに迷惑をかけた事に対するニライカナイからの『誠意』である事は、誰の目にも明らか。しかし、それをハッキリと口には出さない。出してしまえば壬生森は越権行為に問われて投獄されてしまう恐れがあるからだ。グイッと金城提督が顔を近付けると、サッと顔を青ざめさせて、カタカタと小刻みに震え始める。
「darling、怖がってるからやめたげるネ〜」
「わ〜ったよ、ったく……。大丈夫かコレ?」
実戦で使い物になるのか?と聞きたいらしい。金城提督自身、臆病な位で兵士は丁度いいと考えているクチだが、臆病を通り越してただのビビリでは役に立たない。
「まぁ、その辺はウチの方針で鍛え直せばいいか」
と金城が呟くと、ブルネイの艦娘達は一斉にガンビア・ベイに哀れみの視線を向けた。遅かれ早かれ、ブルネイ鎮守府に着任した新人歓迎の『アレ』は待っているのだ。今はまだ、地獄の釜の底を知る必要は無い。ブルネイの艦娘達は心の中で、新たなる仲間(と書いて被害者と読む)に合掌した。
「さぁて、新入りの紹介もしてもらった所で、乾杯といこうかい」
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