貉(むじな)共の悪巧み・1
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だけです」
しれっと語る鳳翔。既に提督が裏から手を回して、鎮守府の土地・建物の権利は国から買い上げて提督の手中にあるのだから、好き勝手やった所で違法性はなかったりするのだが。
「提督は戦後も見据えてこの鎮守府を整備している、と語っておられました。『戦争が終結してからもこの場所が負の遺産にならないように』……と」
「そんな事よりよぉ、とっとと飯食わせてくれよ。俺達腹ペコなんだよ」
話し込んでしまっていた鳳翔と壬生森に割って入ってきたのは、ニライカナイの天龍だった。もう待ちきれない様子で、どんちゃん騒ぎをしている艦娘達の方を凝視していた。
「すみません、つい……」
「しょうがないさ、この鎮守府での過ごし方の説明だったのだ……聞いての通り、自由行動とする。だが、節度ある行動を心掛けるように。以上だ」
「では、ご案内します!『居酒屋鳳翔』に向かわれる方は私に付いてきて下さい!」
その場で解散したニライカナイ艦隊の面々が、それぞれに行きたい場所へと向かっていく。その場に残ったのは壬生森提督とその秘書艦2人。それに噂の『Bar Admiral』に向かうと決意を固めた艦娘達と、何が何だか解らない内に連れてこられた可哀想な見慣れぬ艦娘が約1名。総勢9名。
「さて、我々も向かうとしようか」
「そうね。こっちよ、付いてきて」
一度訪れた事のある壬生森と叢雲の先導で、一行はノロノロと動き出した。
巨大な敷地を誇るブルネイ鎮守府、その中でも一際大きい建物である本庁舎に壬生寺とその一行が入っていく。その壁面には痛々しい銃撃の跡や煤けた跡が見て取れる。
「随分と手酷くやられたようだな」
「これでも最小限に抑えた方でしょ?錬度の高さが窺えるわね」
「巻き込んでおいてその他人行儀っぷりは逆に尊敬できますわ……」
そんな会話を交わしつつ、建物内を進んでいく一行。よく見れば、他の建物にも焼け焦げの跡や舗装の抉られた通路など、空襲の跡が所々に散見する。相当な規模の空襲だったようだが、目立った被害が無いのは流石というべきか。
「さぁ、着いたぞ。ここだ」
「本当に執務室なのね」
感心したのか呆れたのか、ぼそりと加賀が呟く。一度訪れた者なら何という事はないが、初めて来た者は必ずといっていいほどそこに食い付く。叢雲が待ちきれないといった様子でドアを開く。するとそこには、
「らっしゃい。待ってたぜ」
以前来た時とは内装がまったく違う店内に、不敵に笑う金城提督とその艦娘達が数人待ち構えていた。
「これはまた……barは店仕舞いかね?」
「生憎とどっかの誰かさんに巻き込まれたお陰で、いつもの店は穴だらけになっちまってな。今
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