第四十九話 合格してからその九
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「それ位はね」
「何か必死のお願いですね」
「実際に私にとっては切実よ」
背のことはです。
「結局これで止まるとかね」
「嫌ですか」
「小さいのは嫌なのよ」
そう言われ続けるからです、高校に入ってから何度言われたかわかりません。特に言うのは阿波野君です。
それで、です。阿波野君本人に言いました。
「阿波野君が一番言うしね」
「小さいのってよくないですか?」
その阿波野君は私ににこにことして言ってきました。
「女の子で」
「いい訳ないでしょ」
私はすぐに言い返しました。
「高い方がいいじゃない」
「そうですか?」
「そうよ、小さいのはね」
どうしてもです。
「いつも言われるし」
「可愛いってですね」
「言われないから」
そう言われたことはありません、私は阿波野君と一緒に黒門を潜りながらその阿波野君に言いました。
「それも全然よ」
「それはおかしいですね」
「おかしいって?」
「本当に先輩芸能事務所に願書とか送ったら」
またこんなことを言ってきました。
「合格する可能性高いですよ」
「またそう言うけれどね」
「いえ、本当に」
阿波野君はさらに言いました。
「先輩ならです」
「タレントさんになれるっていうの」
「アイドルにですよ、声可愛いですし」
「声も?」
「凄いアニメ声でしかも歌お上手で」
「何で歌のこと知ってるの?」
実は歌は上手だって言ってもらったことがあります、けれど阿波野君の前で歌ったことなんてないです。
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