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人理を守れ、エミヤさん!
クールになるんだ士郎くん!
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この世全ての悪』という謎のチョイスが悪い。もっと別の、戦いに向いた、善性の、触媒の用意しやすい奴がいただろって話だ。

 今でも思う。なんでアンリ・マユなんだよ、と。そんなマイナーで触媒の手配も難しい悪性の奴とか有り得ない。同じ神話に悪と対になる奴もいるんだからそいつにしとけと思うのだ。

「ぐ――」

 不意に急激に魔力を持っていかれ、俺は思わず声を漏らす。

 魔力の過半を持っていかれた。
 ロマニの奴だ。あの野郎、豚箱に放り込まれたことを逆恨みして腹いせしてきやがったな!
 なんて野郎だ、と苦い顔をしかけるも、アイリスフィール達の前だ。なんとか平静な顔を保つ。

 悪いことは重なるもので、左の手首に巻き付けていたカルデアの通信機が点滅した。
 連絡が入ったのだ。俺は嫌な予感に駆られつつ、それとなくアイリスフィールに断りを入れた。

「すまんが少し席を外す。話は後だ、すぐに戻るから待っててくれ」
「え……? どこに行くの?」

 悪いと思いつつも無視して急ぎ足で城から離れ、樹木の影に隠れる。
 そこで通信機に応答すると、写し出された立体映像は完璧な美を体現したダ・ヴィンチだった。

 穏やかならぬ顔である。俺は嫌そうな顔をするのを止められなかった。

「なんだ、レオナルド。報告なら最小限で構わないと言っただろう」
『ああ、出てきたのがアグラヴェインじゃなくて、私の顔を見るなり何やら察したらしい士郎くん。朗報だ、君にはいつもの縛りプレイをして貰うことになった』
「オーケー、ちょっと待とうか。いきなりだなおい」

 いつものとか言うな。分かっちゃいたが面白くもなんともないぞ。
 折角危なげない戦略で最短の距離を駆け抜けようとしているんだ、もう少し待ってくれてもいいだろう……? 頼むから後二日待ってほしい、そしたらなんとかするから……。
 その思いを寸でで口にせず、俺はこめかみを揉んだ。

「端的でいい、なんでそうなった」
『ネロ達のレイシフトした特異点、アンノウンの時代と地域を特定した話はしたろう? 正式名称を変異特異点『死国残留海域スカイ』とした。そこでネロ達は神霊クラスの幻想種と交戦に入ったんだけど……それがどうにも聖杯を宿してるらしくてね。聖剣を食らっても死なない、再生する、ちょー強いの三拍子で全滅まで待ったなし。撤退しようにも死霊の数が万を超えていて、カルデアに一旦戻って貰って体勢を整えようにも、ネロ達の妨害がないとこの特異点が人類史に付着して、決して定礎復元できない状態になる。戦うしかないわけだけど戦力不足だ。以上、何か質問は?』
「オルタはもう出したのか?」
『現状出せる戦力は全部出した。その上でじり貧だ。いやもっと言おう、時の経過と共に詰んでいく。どうやらここでは知恵とか戦略と
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