アーキマンなのかソロマンくん!
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できる能力の方で対処した方が手札は隠せるだろう。
それに、一度やられた手法に対して、冬木のキャスターがなんの対策もせずにいることから――まあそもそも対策なんて出来ないだろうが――冬木のキャスターに自我はない、と彼は断定する。
堕ちたりとはいえ、まがりなりにもフランス救国の英雄だ。ジャンヌ・ダルクの添え物として見られがちだが、実態はその逆である大元帥ジル・ド・レェ伯が同じミスをするとも思えない。故に間違いないと言えた。
まあ、敢えて同じミスをして、相手の油断を誘発する策とも見れるが、それをする意味はない。何故ならカルデアの陣営に、油断や慢心は無縁であるから。
「普通に焼き払ったんでいいんじゃないかな」
なげやりに言いながら、ソロモンは魔術を行使する。
召喚魔術に特化した術者ソロモンは、詠唱を瞬きの間もなく完成させ、目的のものを召喚した。
「――来たれ地獄の大伯爵。第三十四柱の魔神フュルフュールよ」
別名フルフル。英霊ソロモンに付随する、自我のないただの術式――人理焼却の実行犯にはなんら関わりのないただの使い魔だ。
と言っても、伝承に語られる最高峰の使い魔である。宝具の域にも届くそれを、ただの召喚魔術に過ぎないと看破できる者はこの場にいない。
久方ぶりの、ソロモンとしての魔術行使に感じるものはない。あるのは奇妙な自己の齟齬。かつて純粋なソロモン王だった頃にはなかった人間としての心を持ちながら、ソロモンの力を振るうことへの心地好い異物感のみ。自分が変われていることへの実感だ。
白衣を纏い、眼鏡を掛け、ソロモンによって霊基を誤魔化され、普通の人間に見せられているマシュを庇うように立ち、傍らに魔神を召喚する。
現れたのは背に翼を持つ牡鹿。燃え立つ火の蛇尾が特徴的な魔神である。
優美なる威厳を備えたその魔神は、地獄とされる異界にて二十六の軍団を率い、雷や稲妻を操る異能を保有していた。真実を話させる呪文を唱えない限り召喚者に対しては嘘を吐き続けるが、現在は自我を持たない使い魔である。喋る機能はあるがそれは切ってあり、魔神は無言で佇んだ。
「おお!」
第三十四柱、フュルフュール。噛まなくて良かったと人知れず呟くソロモンに、征服王の感嘆の声が上がる。そのマスターである少年ウェイバー・ベルベットは、ただただ圧倒されて魅入られるのみ。
ソロモンが楽団の指揮者の如くに腕を薙ぐ。フュルフュールは主の指示に従いその異能を遺憾なく発揮した。
異次元の音波を発して牡鹿が嘶き、見事な七支刀のような角を誇示する。雷光が閃き、その身が宿す膨大な魔力を大雷へと変換して、百を超える海魔へ向けて撃ち放つ。
その威力は、さながら電磁加速砲により投射された砲弾の如し。凄まじい雷弾の破壊の余
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