謁見だよ士郎くん!
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に付すのみ。――星詠みの天文台よ、大儀である。篤と励め」
「――は?」
「分からぬか。我は貴様を殺さん。このような寄り道など手早く終わらせ、さっさと次に駒を進めよと言ったのだ」
目を見開く。ギルガメッシュはアインツベルンの城の城壁の上で、腕を組みながらこちらを睥睨した。
「贋作を造るその頭蓋は気に食わんが、特例として存在することを赦す。その小賢しい知恵と悪運を駆使し、人理を巡る戦を見事、戦い抜くがいい」
「……」
「だが今のままでは道半ばで倒れるは必定であろうな。今の内にその因果を清算しておけ。此度はそれだけを告げに来た」
「因果……?」
そこまで言って、ギルガメッシュは片手をあげた。
こちらからは見えない地点、城壁の向こう側から空を舞う王の御座が現れる。
エメラルドの天舟。それに跳び移り、玉座に腰を下ろした王は唖然とする一同を見渡した。
「先を『視てしまった』以上、この場の余興に絡むのも面倒だ。故に雑種は雑種同士、せいぜい適当に戯れているがいい。我はこの先の宴を心待ちにしているぞ、クランの猛犬」
謎めいた言葉を残し、それ以上の弁を費やす事なく英雄王は去っていった。
俺は呆然とする。
全然、全く、これっぽっちも予期し得ない事態だ。
いったい、俺が話していた相手は誰だった?
あれが、本当にギルガメッシュだったのか?
傲岸不遜、慢心の塊、絶対者ギルガメッシュだったと、本当に言えるのか?
「……相変わらず訳が分からねぇ野郎だが、雌雄を決する機会はもうちょい先らしいな」
クー・フーリンが独語する。それで我に返った俺は、がりがりと頭を掻いた。
訳が分からずとも現実は変わらない。本来、聖杯問答に参加するはずだった英雄王は去ってしまった。
杯で挑まれたら逃げるわけにはいかないのが王ではなかったか? それを曲げてでも成さねばならないことがあったとでも? やはりあの王のことは分からない。一方通行の理解だけを持っていかれた。
ちら、とアイリスフィールを盗み見る。
どうやら世間知らずが祟って、この時代ではまだマイナーだったカルデアの名前は知らないらしい。いまいち話に付いてこられていなかったようだ。
ならいい、理解されていたら正体がバレ、同盟は破綻していた。同盟解消はもう少し先の局面でないといけない。
だが、英雄王は俺を殺す気はないと言っていた。なら無理をして倒しに行く必要はない? いやしかし、『この先の宴』とはなんだ。冬木の聖杯に招かれた存在である以上、それはこの冬木での出来事を指す筈だが……。
「……妙だ」
アルトリアがふと言う。
「気づきませんか。先程聞こえた雷鳴――恐らくは征服王の戦車のものでしょう。それが遠くから聞こえたの
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