第四十九話 合格してからその八
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「一センチも伸びなかったのよ」
「縮まなかったんですね」
「そんな筈ないじゃない、というかね」
思わず阿波野君に聞き返してしまいました。
「背って縮むの?」
「年齢重ねるとそうなる人もいますよ、骨格の問題で」
「そうだったの」
「はい、骨と骨の間の軟骨とかが減って」
それでというのです。
「縮みますよ」
「じゃあ私もお婆さんになったら」
思わずその時のことを思い出してしまいました。
「一五〇センチ切っちゃうの」
「一四〇センチ代になりますね」
「ううん、それはね」
実はかろうじて一五〇センチであることに内心ほっとしていました、まだそこまで小さくはないと思って。
「困るわね」
「声優さんだと一四〇センチ代の人も多いですよ」
「そうなの」
「あの業界小柄な人が多くて」
「前にお話したけれど」
このお話は、です。
「今思い出したけれど」
「一四〇センチ代の人もです」
「結構おられるの」
「そうなんですよ、これが」
「じゃあ私は」
「やっぱり小さいですが」
私に笑って言ってきました。
「そんなに悲しまれる位には小さくないですよ」
「悲しんでないわよ、ただね」
「コンプレックスですか」
「はっきり言えばそうよ」
小学校の時から小さい小さいと言われ続けていたので。
「あと十センチは欲しいわ」
「十センチですか」
「一六〇ね」
「それ位あるとですか」
「あと五センチでもいいの」
せめてです。
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