第二十八話 天下の政その九
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「人はいてもです」
「治めてはおらんか」
「はい、特に領地とはです」
「考えておらぬか」
「その様です」
「では都合がよい、天下を統一すればな」
その後はとだ、信長は石田に応えて述べた。
「それからじゃ」
「あの島にですな」
「進もう、猿は違うことを言うが」
「はい、それがしとしましては」
猿という言葉に応えてだ、羽柴が信長に述べた。
「朝鮮から明へ」
「ははは、そうしたいか」
「いけませぬか」
「猿、明とは戦よりもな」
「交易ですな」
「そちらの方がよい、それに朝鮮は特にじゃ」
この国のことも話すのだった。
「攻め取らずともよいであろう」
「あの国は、ですか」
「明との交易をするなら船で行き来すればよいしな」
朝鮮を手中に収め陸から交易を行うのではなく、というのだ。
「それでじゃ」
「放っておくべきですか」
「あの国には何もせずともよい、対馬にまた攻めて来るやも知れぬが」
「元寇の時からまた攻めていましたな」
「あの島の者達、宗家の者達に任せてな」
そうしてというのだ。
「交易ならそれっでよいしな」
「対馬の守りだけを固めて」
「特に何もせずともよい」
「左様でありますか」
「戦をするよりも交易じゃ」
その方がいいとだ、信長は言うのだった。
「領地からの米だけではない、これからはな」
「銭ですか」
「商いから得られるそれですか」
「それに大事になりますか」
「その両方で国を治めるのじゃ」
これが信長の考えだった。
「わかったな」
「はい、では」
「その様にですな」
「国の仕組みも変えて」
「本朝を長く泰平で豊かにしていきますか」
「そうしていく、あとじゃ」
信長はさらに話した。
「蝦夷じゃが」
「蝦夷、ですか」
「陸奥の海の北にある」
「あの地ですか」
「あの地も落ち着けば人をやってな」
そのうえでというのだ。
「調べてじゃ」
「そうしてですな」
「そのうえで、ですな」
「治めていく」
「そうしていきますか」
「そうする、南だけでなくな」
美麗という島や琉球よりさらに南の島々だけでなくだ。
「北もじゃ」
「蝦夷もですな」
「調べてですな」
「治めていく」
「そうしていきますな」
「いつも言っておる様にな、松前家があるが」
蝦夷の南の端にはだ。
「あの家は精々じゃ」
「あの地だけですな」
「蝦夷の南の端」
「あの辺りを治めるのが精々」
「それ位ですな」
「そうじゃ、だから蝦夷の大半はじゃ」
松前家が治める場所以外はというのだ。
「いずれな」
「織田家が直々に調べ」
「その細かいところまで把握し」
「そうしてですか」
「直接治める」
そうすると言うのだった。
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