黒魔術-Dark Majic- Part3/微熱と雪風を憎む者たち
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「サイト、最初に言っておくけど、私たちもこんなこと言いたいわけじゃないのよ。ただ…」
「何か無視できない理由があるということか?」
シュウからの問いにモンモランシーは頷く。
「今この魔法学院に通っている生徒たちの中に、この舞踏会に乗り気じゃない人が多すぎるのよ。というか、私たち以外全員がそうだといえるわ。ここまで反対されていると、開催自体が危ういでしょう?」
「まだ諦めるなよ!前にみんなで演劇やったじゃないか!」
以前、ウェザリーの策謀の一環とはいえ、彼女のもとで演劇をやったことを持ち出したサイトだが、レイナールが眼鏡をかけなおしながら言ってきた。
「諦めるとかそういう問題じゃないんだ…トリスタニアで行った舞台と違って、今回は僕たちの素性が最初から明らかになってる」
そう、以前ギーシュたちは演劇を行うという、下々の民の真似事を貴族が行ったことを実家にばれてしまうことを恐れて、一度は参加を渋っていた。ウェザリーが素性をあからさまにしなければバレる可能性があまりないという説明と、当時のアンリエッタからの命令である『黒いウルトラマンの情報集め』という正当な理由もあってこそだ。今回の舞踏会にもれっきとした目的があってこそ開催しようとしているのだが、今度はそうはいかない。自分たちが主催者であることを知られていることが前提での開催だ。
「もしこのまま参加をすれば、周囲に僕らの家名が低いものであるという認識を与えてしまうんだ。そうなってしまうと、僕ら自身だけでなく、実家にも影響が出かねない。周りの動きに合わせなければならない僕らの事情も分かってほしいんだ」
「でも、それだったらルイズさんとキュルケさん、それにタバサさんだって…!」
マリコルヌに対し、ハルナが三人の方に視線を寄せる。マリコルヌの言い分が正しければ、ルイズたちもただでは済まないはずだ。
「あたしとタバサは留学生だから別に何ともないの」
キュルケと一緒に、タバサも「ん」と小さく頷く。ここはトリステインという、彼女たちにとっての外国。ここで罪に問われるようなことさえなければ特に貴族的立場のダメージは何もないのだ。
「ただ…ルイズ、あなたは大変じゃなくて?」
キュルケから指摘を受け、ルイズは一時押し黙る。
「そうね、ゼロのルイズは大変なものよ」
いかにも嫌味な感じを漂わせる声がサイトたちの耳に入った。入口の方を見ると数人ほどの魔法学院生徒が数人、集まってこちらに近づいてきた。先頭を切ってきたのは、グレーの髪の女子生徒だ。
「平民に向けた舞踏会ですって?ルイズだけじゃなくて、あなたたち全員、頭がおかしくなっちゃったんじゃなくって?そこにいる下賤な平民共に毒されてしまったんだから」
「…!」
明らかにサイトたち全員のことを軽視…なんてものじゃない。露骨に侮辱しきっている。平民とい
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